日航財団>景観

第7回 伊那谷・諏訪地域の水系景観づくり            2004.10.1

「泳げる天竜川」「澄んだ諏訪湖」を取り戻そうとのスローガンの下、天竜川水系および諏訪湖流入河川の水質調査が1997年より実施されていますが、当調査は地域の財団、企業、ボランティアに支えられています。ちなみに、1950年代半ばまでは天竜川でも泳ぐことができたようです。
今回は、全長213km、諏訪湖に源を発し、かつて「暴れ天竜」と呼ばれた天竜川沿いの伊那谷および諏訪湖周辺地域の水系景観活動を、これまでとは少し異なった視点から取り上げます。
リサイクルシステム研究会の中澤さん、田中さん、仲間の皆さんにお話を伺いました。
  

田中さん、中澤さん、小林さん



  • リサイクルシステム研究会と諏訪環境まちづくり懇談会が中心となり、「諏訪湖・天竜川水系健康診断」を毎年実施。
  • 今年は台風16号の影響が少し残っている中、またあいにくの雨の中、9月2日(木)午前10時より、2時間毎、24時間にわたり水質を調査した。工場廃水の影響をみるため調査日は平日に設定している。
  • 参加者は地元54の企業・団体から、376名。随分多人数であるが、第1回より参加者を集めるのに苦労はしなかったとのこと。
  • 調査対象ポイントは諏訪湖流入河川、天竜川及び支流、合計49ヵ所に及ぶ。
天竜川に注ぐ大泉川
  • 調査項目は、COD(化学的酸素要求量)、NO3-N(硝酸態窒素)、PO4-P(リン酸態リン)およびpH(水素イオン濃度)。pHを除き数値が大きいほど汚染度が高い。
  • CODは"水がきれいになるために必要な酸素量を表す数値"であるが、一応の基準は3mg/l(リットル)以下。参考までに、人為的汚染がなければ1mg/l以下、イワナが棲めるのは2mg/lとのこと。残念ながら、清流にしか棲まない"オイカワ"は、天竜川支流の三峰川下流ではほとんど見られなくなってしまった。
  • 天竜川、諏訪湖とも全体的に水質はやや改善傾向にある。…まだ泳げない。
水質検査
  • 5月23日(日)「第11回天竜川水系環境ピクニック」が開催された。ピクニックと言ってもこれは天竜川流域のゴミ拾い運動。
  • 今年は多くの家族連れを含む、過去最高の4,062名が参加、伊那谷を流れる天竜川のほぼ30%をカバーする大清掃活動となった。この地域の夏の風物詩となっている由。
  • 流域4拠点で集められたゴミの数は、缶5,159個、ビン1,421個、ペットボトル1,337個等々。それにしてもゴミの多さには驚かされる。
  • 意識付けが最大のネライであり、子供たちが大人になった頃、ゴミがなくなっていることが理想とか…。
環境ピクニック
  • (財)伊那谷地域社会システム研究所は、1996年「地域社会に対して、自然と共に生きる循環型社会に関する啓蒙を行う」等の趣旨にて設立された。

  • 環境保全活動に対し、過去7年連続して助成。この中、自然修復、景観保全に関するものが全体の27%を占める。
  • 助成対象は毎年面接により7~8件選定され、1年後にそれぞれの活動内容を報告する。
  • 今年は8月7日(土)に活動報告会が開催され、8団体(一部個人)が予定時間を超え、4時間にわたり力のこもったレポートを行った。
市田柿すだれ風景
  • 景観関連では、"市田柿の風景の会"の唐木さんが「柿すだれ風景の保全と文化伝承活動」について報告。農家の協力を得て、柿の木のある風景を保全するとともに、緑と調和のとれた農業景観を残すことを目指している。
  • "奥三河水と生きる会"の三石さんは、下伊那地域内2河川の自然景観をテーマとする「奥三河国定公園内等水辺環境保全」についてレポート。万古渓谷の四季折々の自然景観保全、谷沢川等水辺環境保全を考えている。
  • 報告会後の交流会では、夜遅くまで活発な意見交換が行われた。
下伊那・万古渓谷の秋

  • 夏休みを利用した親子水質調査の機会も設定され、今夏53家族、144名が参加。
  • 子供が調査に加わることにより、地域住民の意識が高まっている模様。自分の家の水質調査をする家族もある。参加した娘さんより「お母さん、洗剤を余り使わないで」と言われるとか…。
  • 結果は「親子で水質調査 自由研究レポート」として、毎年小冊子にまとめられる。大人とは異なった視点で観察しており面白い。
  • いつか澄んだ諏訪湖が戻り、天竜川で再び泳げる日が来ることを祈念しつつ…。(太田正美)
上伊那・箕輪町
    


Copyright 2004 JAL Foundation, all rights reserved.