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第9回 アイルランド・リズモアの景観まちづくり 2004.12.1

Tidy Towns Competition(美しいまちコンテスト、後述)にて初優勝し、2004年アイルランドで最も美しいまちとなった「リズモア」を紹介します。
リズモアはダブリンから南に約200km、ブラックウォーター川沿いの古い小さなまちです。636年に造られた修道院がまちの起源と言われ、象徴は1185年に完成したリズモア城、アイルランド「遺産のまち」にも指定されています。Lismoreは「大きなとりで」を意味する、アイルランド語の"Lios Mor"からきています。
「ボイルの法則*」で有名な科学者ロバート・ボイルはリズモア城が生誕の場所です。(*注:温度一定の場合、気体の体積は圧力に反比例)

ダブリンの環境省内にあるTidy Towns事務局のMs. Orla O'MalleyおよびリズモアのTidy Towns運動を推進するボランティアのMs. Mary O'BrienとMs. Rose O'Dowdにお話を伺いました。

なお、詳細につきましては、日航財団Bulletin「アイルランド景観レポート」として、別途掲載する予定です。

Orla
Mary & Rose

ゴールドメダル受賞
スティッカー

  • 「美しいまちコンテスト(以下、コンテスト)」は1958年にスタートし、今年で47回目。最初は観光促進のためのクリーンアップ運動だった。30年ほど経って重点が環境改善にシフトし、1995年には主管も観光省から環境省に代わった。
  • 参加数は第1回のわずか52市町村から、ここ数年は約700と飛躍的に増加している。これだけの数が参加すれば大成功である。
  • 市町村の環境と生活の質を向上させること、「みんなが住みたい、働きたい、訪問したい、より魅力あるところとする」ことが主目的。
  • 人口により市町村が6つに分類され、それぞれの参加費を支払って参加する。
ダブリン地区表彰式
  • 評価は2段階、合計300点満点で競う。7地区からの代表者による一次評価上位のまちに、二次評価者が抜き打ちで訪れ見て廻る。
  • 優勝賞金は 15,000ユーロ(210万円)。連続優勝を含め、何回でも優勝可能。
  • 表彰式は各地区毎に実施。ダブリン地区では11月2日、郊外のマラハイド城にて行われた。TV等マスコミを利用し、周知にも努めている。
  • 競争原理を上手く導入し、市町村が互いに刺激し合あう仕組みを作っている。これが50年近くも続けられる秘訣か…。Tidy Townsは、アイルランドでの最も成功したボランティア運動の一つである。
メインストリート(リズモア、以下同じ)
  • 目下、最大の課題はゴミとの戦い。Race Against Wasteをコンテストの別プログラムとして実施しており、今年は120市町村が参加。2006年には本体に組み込む予定である。
  • 各市町村の「Tidy Towns委員会」構成メンバーはすべてボランティアである。男女ほぼ50:50、古くからのメンバーが多く、高齢化が悩みのタネではある。
  • 若年層対策として10~18才を対象に、学校等でTidy Towns啓蒙運動を始めた。
  • 景観保全で最も大切なことは、人々が住んでいる地域において"Pride of Place"、その地域のオーナーであるとの感覚を持つこと、とOrlaは考えている。
ミレニアム公園
  • リズモアは、2003年のコンテストでは全国優勝こそ逃したが、人口規模毎の上位得点者に与えられる「ゴールドメダル賞」を獲得しており、まちの入口にはその標識が立てられている。
  • 今年は全国優勝の他に、「最も美しい小さなまち」「ゴールドメダル」「地区優勝」「州優勝」と5つの賞を獲得しており、賞金の合計は20,700ユーロ(約300万円)になる。なお、後者3つは2年連続受賞。
  • 優勝の評価点は、昨年から8点改善し275点。特に、ゴミ処理と居住地区環境を向上させた実績が評価された。
  • MaryとRoseはとても明るく、前向きな二人で、最初からファースト・ネームで呼ばせてもらったが、「リズモアTidy Towns委員会」の中心メンバーである。メンバーは総勢25人、もちろん全員ボランティア。
歩道上の花壇
  • このまちの人口は1,200人、中240人、すなわち5人に1人が、決められた場所の花木を手入れしたり、ゴミを片付けたりと、何らかの形でTidy Towns運動にかかわっている。
  • 訪問したその日も、女性が道路上のゴミを拾っていた。また、二人が"スウィーパー"と愛称で呼ぶ清掃車が、落ち葉をせっせとかき集めていた。
  • コンテストには17年前から参加している。まちのサイズもあり、今ではすべての町民が高い関心を示しているとのこと。カフェで隣り合わせた男性に聞いてみたが、よく理解していた。
スウィーパー

  • 優勝後、全国各地からお祝いの手紙、はがきが多数寄せられており、メインストリートにある信金のウインドウに、表彰状と一緒にディスプレイされている。
  • また、ヨーロッパ諸国および国内各地からの訪問者が増えており、イギリスなどからは移住したいとの問い合わせもある。すでに移住している人たちもいるとのこと。
  • 二人にとっては、まちそのものが誇りであるが、中でも「住民」が最大の誇り。路上で出会った人々は、皆挨拶を交し、人懐っこく、親切であった。Maryは12年、Roseは33年、このまちに住んでいるが、二人とも終の棲家にしたいと思っている。
  • ダブリン等の大都市に出て行く若者もいるが、まちの人口はむしろ増えているとのことであり、周辺部には新しい住宅街が造られていた。
優勝祝いのレター
  • 柵、塀、街路灯、橋、道路等、公共物も非常に良い状態で維持管理されている。なお、多くの公共物のカラーは「金と黒」に統一されており、引き締まった感じを与えている。
  • ルール通り突然審査員が現れ、抜き打ちでコンテストの最終審査が行われたが、その日リズモアのまちには全くゴミは落ちてなかったとレポートにある。
  • "Tidy "という言葉には「きちんとした」とか「きれいに片付けられた」とのニュアンスがあり、専門家でなくとも一般市民が気軽に参加できるとの雰囲気があるようで、二人ともこの言葉にこだわっていた。
    教会付近
  • 賞金の使途は今後メンバーと協議するが、連続優勝を目指し「景観づくり」に再投資されるものと思われる。「来年も今年以上に改善する」と言っており、まもなくその準備に入るとのこと。「連続優勝の自信は?」との問いには慎重であったが、内心は言うまでもない…。
            *     *     *
  • 「次来る時には、もっと美しくなっているのではないか」との期待を抱かせるまちであり、訪問者を引き付けて止まない。来年が今から楽しみである。…がんばれリズモア!(太田正美)
リズモア城
    


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