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■ 第11回 神奈川県真鶴町の景観まちづくり 2005.2.1
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今回は「美の8原則」を条例に反映したまち「神奈川県真鶴町」です。美の象徴は、真鶴半島の松・楠・椎の森という自然景観であり、町民にとっての聖なる場所となっています。産業の一つに石材業があり、ふんだんに小松石が使われているまちです。
十数年前のマンション開発をめぐっての問題は、覚えておられる方も多いのではないかと思います。背景には複雑な事情もあったと推察されますが、周辺に住む多くの町民から見れば、突然の中高層マンション計画は驚きであったようです。
松原隆一郎氏は「失われた景観」(PHP新書2002)の中で、「(真鶴町の)美の原則は、従来の形態規則が高さや色・形など量的に測定しうる性質のみを指定していたのに対し、景観の"美"という質的な性質にもかかわらせようとする点に著しい特徴がある」と指摘しています。
真鶴町役場の岩本さん・卜部さん、町民代表として高良さん、草柳さん・小林さんにお話を伺いました。 |
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卜部さんと岩本さん
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高良さん
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草柳さんと小林さん
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上:YES 下:NO
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夜光虫
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- 景観法により確実にまちは変わると、昨年12月17日同法施行日、県下で最初に景観行政団体の申請を行い、同日県知事の同意を得て公示した。1月16日には日光市とともに全国第1号の景観行政団体となった。
- 今後は景観法を後ろ盾に、自然と共生する美しいまちづくりをさらに推進する計画である。
- 1980年代後半、水(水源)がないまちにリゾートマンションの開発ラッシュが起こったのが引き金となり、新町長の下、まず給水規制条例等、水の2条例が施行され、とりあえず開発ラッシュは止まった。ちなみに当時開発案件は47件あった。
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真鶴半島とまち並み
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- 次に、まちづくりのルールが欠如しているとの判断より、1991年からまちづくり条例策定作業が始まった。町長以下12名のプロジェクト・チームが結成され、法律・都市プラン・建築それぞれの専門家3名のアドバイスを仰ぎながら、約1年間、時には居酒屋で、議論を重ねた。
- 決してスムーズではなかった県との調整を一応終了、次いで計11回住民に対し説明を行った。反対意見も一部出されたが、若干の修正を経て1993年町議会にて可決され、翌年1月1日「真鶴町まちづくり条例」が施行された。議論開始から2年余のスピード策定であった。別名「美の条例」の誕生である。
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コミュニティ真鶴
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- 当時次々と取り壊されていった歴史的建造物を心配していたチャールズ皇太子の「英国の未来像---建築に関する考察」(東京書籍1991)がヒントとなっている。
- 「美」を個人的な主観でとらえないよう、8原則(基準)をつくった。真鶴のまちを美しくすることによって、生き生きと生活できるようにするためのルールと位置付けている。
- 「場所」「格づけ」「尺度」「調和」「材料」「装飾と芸術」「コミュニティ」「眺め」が8つの原則。具体的内容はイラストや写真を用い、デザインコードに呈示されている。
- 建築は風景を支配しないよう、人間の大きさと調和し、周囲の建物を尊重すること。海と緑の自然およびまち全体と調和すること…。最終的には美しい眺めを育てることが基本的精神である。
- キーワードには「聖なる場所」「眺める場所」「斜面に沿う形」「自然な材料」等があり、自然な材料の一つとして、小松石を積極的に使用している。
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眺める場所・小松石
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- 「美の8原則」は条例に反映されているが、これに基づく「まちづくり計画」は20年計画であり、5年毎に診断しながら、じっくりと美しいまちづくりを進めようとしている。
- 折り返し点が過ぎ、これからの10年は、行政から住民に主体をシフトし、特に"美"を意識させることが重要課題となる。
- 自己の居住用住宅以外の新たな建築物については、先ず業者と近隣住民との協議、次いで行政との事前協議、合意に至らない場合は公聴会を開催する。
- 美の基準に賛同して町外から移住し、基準に沿った家を建てた30才代の夫婦がいる。また、美の条例があるまちという理由で移住してきた人もいる。
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舞い降りる屋根
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- 自然との共生がベースであり、「真鶴の海に夜光虫を蘇らせ、まちに美しく豊かな眺めを創造する」ことが真鶴町のビジョンである。かつては多く見られ、波が蛍光色に光ってみえたプランクトン“夜光虫”を美しい海を取り戻す象徴としてビジョンに記している。
- 主たる基本目標には「真鶴町を7つに区分し、小さな単位での特徴を尊重したまちづくりを主体的に行う」「新規開発や公的プロジェクトは美の基準に基づき、自然や公共施設とのバランスを保つ」等がある。
- 「身の丈に合った景観まちづくりができること」、これが真鶴町の良さと岩本さんたちは考えている。
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海岸からのまち並み
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- 高良さんの共生舎とは、自然との一体化、人間が自然の一部として存在するような建物をとの思いで、美の基準に沿って建てられたものである。樹齢何十年という林に囲まれた自然景観を極力壊さず、斜面に沿い半分埋まるように工夫された設計となっている。
- 良好な自然環境の下、住民が話し合う場を提供する目的で造られている。「人間は人生から降りる訳ではなく、最後まで存在する」というのが高良さんの持論。
- 一時は自然が破壊されているのを目の当たりにし、真鶴に住んでいる意味がなくなってしまうと感じた。このような背景もあり「美の条例」には最初から興味があり、特に稜線を壊さないという点に共鳴した。
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共生舎
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- 真鶴半島先端の御林(おはやし)を次世代に残すことを目的に、草柳さんたちは過去17年にわたり「グリーンエイド真鶴、ふるさと海と緑の文化祭」を開催してきた。コンサート会場での募金は全額、真鶴の自然を保全する「真鶴みどり基金」に寄付された。
- 残念ながら昨年は台風接近により中止となったが、毎年コンサートの1週間前には、住民とともに海岸、御林のゴミ拾いを実施している。参加者の大半は若者である。
- 御林の落葉樹が腐葉土をつくり、これが海を肥やして近海漁業を潤していると考えている。松は残念ながら最近松くい虫の被害を受けており、薬剤を注入しているのが実態である。
- 草柳さんにとっては下町的な人情が残っていること、小林さんにとっては潮の香りがあり落ち着くことがまちの誇りである。自然と人のバランスが良いまちである。(太田正美)
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御林の樹木
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