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■ 第12回 山形県金山町の景観まちづくり 2005.3.1
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| 1878年(明治11年)イギリス人女性イザベラ・バードが訪れ「日本奥地紀行(Unbeaten
Tracks in Japan)」に記した、人口7,300人の旧宿場町が山形県金山(かねやま) 町です。「今朝新庄を出てから、険しい尾根を越えて、非常に美しい風変わりな盆地に入った。(中略)その麓に金山の町がある。ロマンチックな雰囲気の場所である。」(高梨健吉訳、平凡社ライブラリー)と書いています。道中、雀蜂や虻に刺され熱が出たこともありますが、金山住民のもてなしに感激し、バードは金山町に3泊しました。
1963年「金山町美化運動」をスタートさせた当時の町長は、事前にアメリカ、ヨーロッパを視察しており、特にドイツに残る木組みの家並みが大いに参考になったのではないかと推察できます。この運動は1983年からの「街並み景観づくり100年運動」につながりますが、これは100年かけて、100年前バードが見た金山の景観を取り戻そうとの遠大な計画です。今年、町制施行80周年を迎え「オンリーワンのまちづくり」を新たな目標に掲げました。
金山町役場の藤山さんと景観審議委員の阿部さんにお話を伺いました。
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金山三峰(夏季)
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 金山型住宅群(同)
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- まちづくりの柱は「景観」であるが、その背景には3つの要素がある。まず山形県の北の端に位置するという地理的条件から、「川上のまちであり、水をきれいに使い次のまちに送る、同時にまちそのものをきれいにする」との考え方が根底にあった。次に、バードがロマンチックと感じたように、家並みと山という自然の調和、さらには人のもてなし、気配りが存在したという歴史的背景。3つ目は金山杉を利用した林業が盛んであるという産業的要素である。
- 「建物は風景を隠すもの」との前提に立ち、「遠くから見えないこと」に特段の配慮をした。
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金山型住宅1
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- 2002年にも町長(団長)以下16名が、ドイツ中西部の農村都市を訪問した。整備されたまち並みの美しさを見学し、100年運動で目指すものを再確認。
- 延べ100人に及ぶドイツ研修参加者は町内に点在しており、周辺の住民に花を飾る等の運動を広める原動力となっている。
- 1978年から「住宅建築コンクール」を実施。表向きには職人の技術向上・後継者育成を目的としたが、当時風土に馴染まない新建材を使用した住宅が増加し、金山町の良さが失われかけるという深刻な危機が背景にあった。
- コンクールの回を重ねていく中、評価の高い住宅の色、形、素材が見えてきた。
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金山型住宅2
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- このように、まず美しいまちづくりのいくつかの運動が先行し、その後、1985年「金山町街並み景観条例」が制定されている(翌年施行)。
- 住宅の基準はこれまでにやってきたことの裏付けをしたものであり、金山型住宅を奨励している。白または土色の壁、こげ茶または黒で統一された切り妻屋根および杉の下見板が特徴的な、在来工法により建てられた住宅である。年数を経ても、美しく古びると言われる自然素材を使用している。
- 当初はまちの中心部のみを対象としたが、周辺部の住民より要望があり、数年後には対象地域を全町に拡大した。
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金山型住宅3
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- 「景観共有論」がまちづくりの理念であり、最終的には、住民が住みやすく、風景と調和する美しいまちを形成することが目的である。
- 「街並み景観づくり100年運動」は1983年に開始されたが、本格的なスタートは条例が施行された1986年と藤山さんは考えている。
- 文化財の保全ではなく、金山型住宅の家並みづくりが運動の主体である。統一感のある美しい家並み景観をベースに、快適な生活環境を形成するための、町民と行政が一体となった運動であり、林業振興と景観まちづくりを同時に推進しようとするものである。
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蔵史館(くらしかん)
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- 杉林と豪雪という風土と金山杉をふんだんに使った住宅の調和が景観形成の基軸である。今年は16年振りの大雪とのことで、除雪車が早朝より大活躍。
- 2003年度には、新築計23件の中、金山型の住宅20件、屋根の色彩変更ケース100件等、計131件に対し約1,700万円を助成したが、「景観に対する投資」と考えており、特に予算の上限は設定していない。関連する事業は4.8億円、中60~65%が町内にて経済的に循環しているからである。
- 現在、町内住宅の32%がすでに金山型となっており、まち全体の景観にも一定のインパクトを与えている。今後が楽しみである。
- 最近では住民も色彩に対し敏感になっており、条例に合わない建物があると、住民側から行政に意見を言ってくるケースがあるとのこと。
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ゴミ集積所(金山型)
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- 条例施行年より景観審議委員を務める阿部さんも「最近やっと成果が見えてきた」と感じている。
- 「建築コンクール」の実施が、大工さん達に切磋琢磨する機会を与え、出来栄えを意識させるきっかけをつくった。
- 過去、一部町民から景観条例が揶揄され「白壁条例」と呼ばれたこともあったが、実際に2~3軒並んで金山型住宅が建てられると、彼らもすぐその良さを理解した。今では「まずはやらなければ」との意識を持つようになった。
- 啓蒙活動は最早不要であり、もう一段階ステップアップする時期に来ている。「100年運動は100年経って全て終了ということではない」、「きれいな状態で受け取ったものを少し良くして次の世代に渡したい」と阿部さんは考えている。住民の景観意識の高さは、すでにドイツ並みか…。(太田正美)
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金山杉並木
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