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■ 第15回 北海道大学&札幌市の景観づくり             2005.11.1

今回は、札幌駅の北口に近接し広大な敷地を有する北海道大学に焦点をあて、そのキャンパスおよび札幌市の景観づくりをレポートします。

北大では1996年に策定された「キャンパス・マスタープラン96」が原点となっています。ちなみに同大学のキャンパスは、1876年に開校した札幌農学校の旧キャンパスを核として拡大し、今日に至っています。
構内を縦断するサクシュコトニ川は、かつては鮭が遡上してきたようですが、札幌の都市化とともに水量が減り、昭和の後半には枯渇してしまいました。北大と札幌市の協働作業により生態系を配慮した川として数年前に再生され、現在は美しい水辺景観を呈しています。

一方、札幌市は極めてユニークな「札幌の景観色70色」を色彩景観ガイドラインとして示し、昨年7月より運用を開始しました。主に高層建築物や公共物を対象として色彩が定められています。
北大大学院の小林教授と施設部の藤田さん、札幌市市民まちづくり局の荒井さんにお話を伺いました。



北海道大学キャンパス


色彩景観ガイドライン概要版

札幌の景観70色

薄(すすき)

<北海道大学>

  • 敷地は広いものの魅力ある拠点づくりが必ずしも明確でなかったことから、「大学の顔をハッキリさせよう」と、総長の発案により1995年、小林さんを含む7人のチームにてキャンパス・マスタープランづくりが始まった。
  • 北海道の開発を担ってきた大学であり、フロンティア・スピリットが研究教育の根底にあった。また、北大キャンパスの景観は、北海道の風土のシンボルであり誇りを持って課題と取り組んだ。
  • 小林さんはアメリカ・バークレー大学にて、ベンダー教授より「アメリカではキャンパス・プラン作成は当たり前」であることを学んだ。
サクシュコトニ川・中央ローン
  • 同教授はその後北大を来訪、「オープンスペースの骨格がハッキリしており素材は良い。ただし、建物がバラバラ」と指摘。
  • 策定された「キャンパス・マスタープラン96」は、30年以上のスパンで実現され、キャンパスの骨格を示す「大きなマスタープラン」と、5~10年の比較的短いスパンで実行される「小さなマスタープラン」という2つの考え方より成る。
  • 大きなマスタープランのポイントは、クラスターと言われるキャンパス内3つのゾーン、キャンパス中央を貫く「中央道路」に代表されるメインストリートおよび昔からの風景である手稲山系の眺望景観(ビジュアル・コリドール)。人間の歩く環境づくりを目指す。
  • 小さなマスタープランとしては、建物群の整備。元々あった樹木は、伐採せず残すことを心掛け、主要道路を挟み50m以内には建物は造らない。

ポプラ並木
  • 重視するのはランドスケープ。「エルムの森」「イチョウ並木」「ポプラ並木」の木々。重要文化財である第二農場の「モデルバーン」などの歴史的建築物の保全・修復。サクシュコトニ川周辺の水辺景観等々。
  • これまでに実践してきたのは、まず水と緑に代表されるエコキャンパスづくり、自然物を壊さず道路から距離をおいて建てられた北端の研究センター等建物群、さらには「平成ポプラ並木」。歩き心地のよいウッドチップの道も整備され、市民が散歩を楽しんでいる。
  • 残念ながら1970年以降、ユキウサギ等はキャンパスを去ってしまったが、小鳥類は今でも10数種が見られる。サクシュコトニ川の北西端ではメダカを見た。
モデルバーン
  • キャンパスは広大な敷地面積を持つ、言わばミニタウン。市民も含めたさまざまな人々との交流ができるオープンスペースとなっており、景観も周辺住民との共有財産。雪解け後に毎年実施される「キャンパス・クリーンデイ」には教職員、学生に加え市民も参加する。
  • 課題は人と車を分離すること。中央道路を人中心の道とすることが最終目標。
  • 景観は"光景"と"風景"と"情景"にて構成される」とは小林さんの持論。例えば、山の雪が融けるのが光景、樹木や研究所の眺めが風景、市民の憩いの場面が情景である。「これら3つが他大学に比べ特に豊かである」というのが北大の誇りである。
エルムの森

<札幌市>

  • 札幌市はもともと計画的に造られたきれいなまちであったため、景観条例が制定されたのも1998年と遅かった。
  • 他方、1972年冬のオリンピックが一つのきっかけとなり、急激に都市化が進み、高層マンションが増え、今まで見えていた山や空が見えなくなってしまった。より厳しい「高さ制限」の2006年3月制定に向け、目下市民の意見を集約中。
  • 市行政は市民まちづくり局が中心となり、植生が豊富な地域特性を活かした美しい都市景観づくりに努力している。「緑化」「色彩」「空間(敷地内)」が札幌市景観づくりのポイントと荒井さんは指摘する。
  • 色彩に関しては、市内の相当数の大型建造物を調査し、木、花、土、雪などの札幌の自然色と比較した。札幌の景観色としては、当初多くの色が候補としてあげられたが、最終的に70色に絞り込んだ。
ウッドチップ散歩道
  • 市民に札幌市の色のイメージを聞いたところ、「白い雪」が出てきたが、白はどんな色にもマッチしてしまうため基調色とすることは見合わせた。札幌のイメージは「クールでナチュラル」となった。

  • 市民にも札幌に似合う景観色を身近に感じて欲しいとの思いから、「色彩景観ガイドラインの概要版」を作成し窓口で配布している。製作にあたっては、「札幌昭和会」なる塗装工業会45社の有志、いわばペイントのプロ集団が協力した。
  • 70色の主たる対象は大規模建造物や公共物であったが、同会が一般住宅にも適用を開始した。適用された新築住宅には、塗装前から入居希望があるとのこと。
札幌大通公園
  • 景観70色は、10の色相(Hue)と7つの明度(Value)より構成されている。70色すべてに、鈴蘭、白樺、楡(エルム)、蝦夷梟(えぞふくろう)などという札幌らしい名前が付され、さらに物語が作られている。色彩に愛着を持ってもらう工夫。
  • 運用開始から1年が過ぎたが、新築の小中学校に早速「70色」を取り入れた。また、歩道橋の一つには「すすき(薄)」色を使用する計画。
  • 冬の厳しさがあるためか、「四季を楽しむ」ことが市民のライフスタイルとなっており、四季折々の都市の顔を表現した景観づくりが今後の目標の一つ。市民の景観活動には大いに期待している。(太田正美)
花壇コンクール


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