日航財団>景観>
■ 第17回 那覇市の景観まちづくり
2006.4.1 |
 |
|
景観形成地区・壷屋
|
「緑したたるまち並み、見晴らしのよい丘、こんもりと繁る木立、どれを取り上げても首里の都は世界一美しい」と19世紀半ばに当地を訪れた、ペリー艦隊・軍艦ミシシッピー号乗組みの書記スポールディングが感心した那覇市も、第二次世界大戦により壊滅的な打撃を受け、まち並みのほとんどを喪失しました。
那覇市指定の都市景観形成地区は、首里金城(しゅりきんじょう)、壷屋(つぼや)と龍潭(りゅうたん)通り沿線の3地区です。首里城に近接する首里金城地区は、赤瓦屋根と石垣がまち並みにアクセントを与えています。壷屋地区は琉球王朝時代に窯業振興が図られて以来、今日に至るまで陶器生産地として知られているエリアです。
市の抱く景観イメージは「亜熱帯庭園都市」、那覇の個性を活かした都市景観を「まもり・そだて・つくる」ことをテーマに約20年、当課題と取り組んできました。
また、2003年モノレール(ゆいレール)の開通に合わせ、沿線等市街地の「屋上緑化」を奨励しています。
最近では、「協働型まちづくり」を重要な柱とし、計画段階から市民の参画を得、行政と一体となった景観運動を推進しようとしています。各景観形成地区にはそれぞれのリーダーがいます。壷屋地区まちづくり協議会会長の島袋さん、那覇市都市デザイン室の宜保(ぎぼ)さん、大城さんにお話を伺いました。
|
|

景観形成イメージ
|
 明治の那覇
(県立図書館所蔵)
|
 カー(井戸)
|
|
|

|
- やちむん(陶器の意)通りを中心とする『壷屋地区』は、その名のとおり窯業のまちである。320年の歴史がある。市内ではめずらしく戦火を免れた屋敷、登り窯、石垣、カー(井戸)などが数多く残ったものの、崩壊問題が生じていた。
- 島袋さんが本格的に壷屋の景観づくりと取り組み始めたのは、那覇市で最初に設立された壷屋小学校の校長を最後に教職を離れた1998年からである。
- グループをいくつか作り、町民会館や学校でディスカッションを重ねた。結果、「昔からのものは大切にしよう」とか、大まかなことがまとまった。10人位で市長に会いに行き、景観形成の重要性を訴えた。
|
|
やちむん通り
|
|
- 最終的には町民が町民会館一杯に集まり、「景観を良くしよう」ということを決め、皆で協力することを確認した。
- 「壷屋地区まちづくり協議会」が立ち上げられ、当会からの要請に基づき、2002年4月には都市景観形成地区に指定された。行政も深く関わることとなった。
- 最初に取り組んだのは道づくり。琉球石灰岩が車道に使われたが、当資材の性質から年月を経るごとに美しく古びていく。その後、看板づくり、店舗修景を行った。やちむん通りには店舗が並んでいるが、派手な看板は出さないよう申し合わせた。まだ改善の余地はある。
|
|
|
壷屋地区
|
|
|
|
- 現在、新築家屋が1~2件予定されているが、赤瓦屋根にするなど基準に合ったものになるよう指導している。
- 「スージグヮ」と呼ばれる小路地の整備計画も提案している。スージグヮは本来メイン・ストリートであり、島袋さんも子供の頃はここで遊んだ。緑が多く、あたかも昔からあったような雰囲気が漂う、生活に密着した心和む小道である。
- 窯元は20軒ほど残っており、壷屋焼きを大切にしたい、周辺の住民も巻き込み壷屋焼きの素朴な良さを知ってもらいたいとの思いから、教職員対象の焼き物教室も開設した。いずれ子供たちに教えてもらいたいと考えている。
- 地域づくりは少しずつ良い方向に変化しているが、後継者については島袋さんも気掛かりではある。90才の大先輩が元気なうちに、やるべきことをやっておきたい…。壷屋らしい住環境づくりを目指している。
|
|
スージグヮ
|
|
|
|
- 那覇市では今年度(2006) より、『首里金城地区』各民家の石垣部分を道路構造物と見なして事業を進めていく予定である。これにより石垣・石畳は取り壊されることなく、保存・修復されることになる。面白い試みである。
- 当地区は壷屋地区より8年早く、景観形成地区に指定された。十数年を経た現在、エリア内約350戸の1/7にあたる50~60戸が、赤瓦屋根と石垣の家として緑豊かな斜面地に再現され、往時の景観を取り戻しつつある…。
- 石畳道(真珠道)は全長300メートル、21の階段がある。石灰岩が敷き詰められ、両側の石垣と相まって沖縄らしい独特の景観となっている。
|
|
首里金城地区
|
|
- 伝統的家屋や南国特有の鬱蒼とした樹木や色鮮やかな花が、道沿いの美しさを引き立てている。坂道であるため、歩いて下ると遠くの眺望も楽しめる。
- 訪問者から花や木の名前を聞かれることが多くなり、住民が自主的に説明の名札を付けるようになった。今では統一されたものになり景観上も良くなった。
- 花木の種類は126に及ぶ。会長の堀川さんに代表される自治会や老人会が頑張った。坂のまち首里金城の老人は認知症率が低く、足腰が強いとのこと…。
- 居住地区であり、さらに景観整備のメリットを住民に意識してもらうことが大切であると行政側は考えている。
|
|
|
セイロンベンケイ
|
|
|
- 市の景観施策として「那覇の景観賞」に加え、「那覇の景観資源」を一般公募している。また「タウンカラー・スタンダード」を設定し、自然素材である琉球石灰岩の色彩「コーラルホワイト」を基調とした南国らしい色使いを奨励。
- 景観賞を受賞した裁判所通りのアカギは、植えられてから30年ほどを経て立派な並木に成長した。沖縄らしい緑がまちに合う。
- 市街地における緑化促進、ヒートアイランド現象の緩和を目指し、高い位置を走るモノレールの利用者にも、なにがしかの安らぎを与えようと、開通を契機に屋上緑化を推進している。毎年20~30件の申請を受け実施している。
- 景観法に基づく景観行政団体については、いきなり強制的なイメージを与えることは避け、1~2年かけてゆっくりとソフト・ランディングしたいようだ。「人と自然に優しいまちづくり」を目指す。(太田正美)
|
|
アカギ並木
|
|