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■ 第20回 盛岡市の景観まちづくり 2006.10.1
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北上川越しの岩手山眺望景観
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岩手山眺望確保のイメージ
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清潔な印象の強いまちです。
「杜と水の都」盛岡市、その象徴は岩手山をはじめとする周囲の山々と、北上川、中津川、雫石川の市内を流れる3つの河川です。北の高い山々と東の北上高地、西の奥羽山脈にまちを囲まれ、その中を川が流れ、南に平野が開けた、「蔵風得水(ぞうふうとくすい)」と呼ばれる地形構造を成しています。三方の山々が季節風を和らげ、南方からは陽光と薫風を取り込む地形です。
「教室の 窓より遁(に)げてただ一人 かの城址に 寝にいきしかな」、当地出身の石川一(啄木、今年生誕120年)少年が授業を抜け出して見ていた「岩手山の眺望景観」と、市民の心のふるさととなっている「中津川を軸としたまちの風景」の二つを特に大切にしています。
旧城下町の面影を残す歴史景観も盛岡市の誇りです。雄大な自然景観や農村景観の維持・向上に努力すると同時に、近代的都市空間においては市民協働による各種景観づくり運動が近年活発化しています。賑わいと活力ある市街地をつくり、その魅力を高めようとしています。近年に至り新しいビルが次々と建設されたことがキッカケのようですが、まち並み景観に対する市民の意識・関心もこれまで以上に高まっているようです。
盛岡市・景観政策推進事務局の梅田さんとNPOもりおか中津川の会の寺井さんにお話を伺いました。
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セキレイ
カキツバタ・カツラ
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ハンギングバスケット(駅前)
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サケの遡上地点
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 中津川流域に広がる市街地
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- 盛岡で暮らす人々にとっては毎日目にする岩手山であり、「お山への思い」が心の中に刻み込まれている。その場所に行けばいつも同じ山の眺めがあり、市民一人一人に自分の場所が存在する。これが岩手山眺望景観。
- 岩手公園、北上川に架かる開運橋などといった市内主要地点を扇の要に見立て、これらの地点からの岩手山の眺めを確保するよう、一定の仰角を越える高さの建築物を制限している。
- 岩手山の眺望景観を守るというコンセプトは分かり易く、市民が景観に関心を持つ動機付けになったのではないかと推察される。
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- 1980年市勢発展計画に「景観に取り組む」と明記されたのが、盛岡市の景観づくりのスタート。全国に先駆けてこの課題と向き合ったのが誇りである。
- 小さなまちでもあり、厳しい規制ではなく話し合いでやっていこうという精神で始めた。ゆるやかな取り組みであるが、住民の理解も得られたため、あえて条例を作る必要もなく1980年代前半は上手くいった。これが「盛岡方式」と言われる景観づくり行政である。
- 80年代後半になると、城址からの自慢の岩手山の眺めが、一部高層建築に遮られてしまった。失ってその大切さに気付くとともに、事の重大さを認識した。
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 中津川と遊歩道
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茣蓙九(ござく、保存建造物指定)
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- 寺井さんたちは中津川沿い一帯(4km)をシンボルとして位置づけ、地域の活性化を図るべく「NPOもりおか中津川の会」を7月に発足させた。
- 中津川はまちなかを流れているにも拘わらず、夏には鮎釣りができ、驚くことに秋には"野ザケ"と呼ばれる日本では珍しい自然のサケが、市役所の傍らまで溯上してくる。冬には白鳥も飛来する。
- 川のサイズが大き過ぎず、大声で話し掛ければ対岸から返事が返ってくる。「まちに組み込まれた川」と寺井さんも、梅田さんも指摘する。川原にはウッドチップ入りの遊歩道も整備され足に優しい。維持費はかかる…。
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- 早くから下水道整備に着手するなどの環境浄化努力により、現在はキレイになった中津川であるが、30年位前までは生活排水が流れ込み汚染が進んでいた。
- 今夏中学生が清掃活動をしたが、ゴミが少な過ぎてガッカリした。こんな中津川も雪捨て場となっている中学校前の川原では、「春先雪が融けるとゴミが露出し汚い」と中学生に指摘された。
- 「もりおか中津川の会」のメンバーは現在43名、平均年令は55才。今後の活動計画は多彩である。まず地域通貨を発行する。単位は「かじか」、半日のボランティア活動参加者に200かじかを提供。協力店にて割引券として使用できる。
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岩手銀行旧本店(現中ノ橋支店)
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- さらに15の橋全ての「橋洗い」、サケの溯上も見学する「中津川ウォーク」、川の浄化に役立つ「ヨシの刈り取り」、旧門前町・八幡町の「八幡町らしい美しい景観づくり」などを計画している。
- 盛岡市は豊かな自然に取り囲まれているが、今年1月の玉山村(啄木の生地)との合併により、その面積は一挙に1.8倍となった。緑のゾーンはさらに広がり、農村景観や自然環境保全の重要性は従前より高まった。元来保安林が多いためリゾート開発は全くされていない。「手を掛けない」というのが盛岡市の方針。
- 明治から大正にかけての近代化遺産も含め、歴史的建築物もいくつか残されている。これらの建物に対するオーナーのプライドは高く、また一部文化財に指定されたこともあり、今後とも維持管理については心配ない。「その場所にあるその建物が好き」との気持ちが強い。
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栃の木街路樹
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- 市民アンケートでの盛岡市のイメージとしては、やはり「周りの山並みがきれい」「自然が豊か」「まちなかの川がきれい」といった声が最も多かった。
- 市民の景観意識の向上は著しく、「とにかく身の回りからやっていこう」と居住地区の特徴を出しながら、活動を始めている。
- まちなかを花と緑で一杯にするハンギングバスケット運動は今年で3年目。手本は姉妹都市交流のあるカナダ・ビクトリア市。商店街、企業、市役所などがボランタリーベースで実施中。工夫をこらしたバスケットが美しく飾られており、道行く人々の気持ちを和ませている。手入れが見事であり傷んだ花はない。
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岩手大学キャンパス
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材木町ストリート
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- 盛岡方式と言われた話し合いによる景観づくりから、最近では一歩踏み出し、ある程度の規制も止む無しとの考え方になりつつある。昨年11月景観行政団体(岩手県内2番目)となったこともあり、市民の景観意識調査を再度実施した上で、2008年に景観計画を告示、景観法関連の条例を策定、翌年には景観地区都市計画を決定する予定である。手続きが必要であり、慌ててはやらない。
- 画一的な景観行政から脱却し、「盛岡らしさ」をどう表現するかが今後の課題と梅田さんたちは考えている。地域活性化、地域のためが第一義。早くから環境や景観問題と取り組んできた蓄積もあり、自負もある。
- まちづくりのキャッチフレーズは「みどり、にぎわい、なつかしさ~私のまち盛岡をみがこう!」。景観を盛岡のブランドの一つに育てたいとのこと。さまざまな景観要素を持つ盛岡の、さらなる取り組みに期待したい。(太田正美)
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