| 日航財団>景観>音の景観 ―――山梨県早川町赤沢―――
山梨県の南西部に位置する早川町は地域おこしが活発な地域として知られていますが、中でも赤沢は町並み保全への取り組みが注目されています。
1. 赤沢の町並み保全への取り組み 甲府盆地から富士川沿いの国道52号線を南に下り、早川沿いの県道を15分ほど走ると、赤沢の入り口です。ここから所々でしかすれ違えない狭い道を10分ほど進むと赤沢の集落に入ります。周囲を囲む山、畑、坂道の石畳などの景観要素に加えて、静寂ゆえに響く水場の水音、七面山に登る信仰集団の叩く太鼓の響きという音風景が赤沢を特徴付けています。 |
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参詣者はここで一泊し、赤沢から沢を越えて山岳信仰の霊山である七面山に登っていましたが、昭和30年代以降は参詣者の減少と七面山登山口への道路の整備による宿泊者の減少で、明治初期には9軒あった旅館も現在では1軒を残すのみとなってしまいました
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| 昭和50年頃に、地域の30代のUターン青年約10名とその家族が集まり、生活の場を良くすることと、地域の年中行事を再開することを目的に青年同志会を結成しました。まず取り組んだのが、集落の危険箇所を知るための測量と石畳の敷設でしたが、昭和57年にはその取り組みが認められ、石畳の敷設は町へと引き継がれました。現在では集落の道路約800mが整備を完了しています。 | |
赤沢はその豊富な森林資源により杣人、木挽きや大工など多くの職人を輩出しており、かつては板葺きの屋根、板張りの壁が地区内の建築の原型となっていました。青年同志会のメンバーの次の取り組みは、これらの民家の修復でした。都市計画に詳しい学者の協力により町並みの価値が掘り起こされ、メンバー外の住民も巻き込む大きな取り組みとなり、平成5年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。 |
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しかし、まだ課題はあります。現在、集落に住む小中学生は全部で6人。近くに高校が無いため、子供たちは高校生になると甲府などに下宿するために集落を出て行くそうです。
もともとが講中宿であるという地域の特性上、外部からの観光客を受け入れることに対する抵抗感は少ないものの、これらの町並み保全の取り組みに対する住民の考え方は、観光化ではなく地域文化と住環境の保全を目指すことを基本としています。しかし、地域の過疎化と高齢化の進行により、誰も住んでいない家も何軒かでてきているのが問題になっており、住民が地域で生計を立てられる程度の経済的な基盤は必要と考えられています。
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2. 日本上流文化圏研究所
平成6年の早川町長期総合計画「日本・上流文化圏構想」は、早川町の長い歴史の中で培われた生活文化を、持続的なライフスタイルとして地方から都市に向けて発信していくことを目指しており、その中核組織として日本上流文化圏研究所が設立されました。
具体的には以下の取り組みを行っています。 ・ 「2000人のホームページプロジェクト」 ・ 「町民による地域資源の発掘」 ・ 「あなたのやる気応援事業」 ・ 「早川フィールドミュージアム」 ・ 「地域外学生の受け入れ」
3. まとめ
早川町の取り組みは、赤沢の町並み保全のようなハード面での取り組みと、日本上流文化圏研究所による地域資源の掘り起こしと情報発信・ネットワーク作りというソフト面での取り組みを複合したユニークなものです。過疎化・高齢化は依然として進んでおり、経済的な基盤整備も課題となっていますが、町並みを含む地域文化を住民主体で守り育てていこうという取り組みのこれからが期待されます。
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