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団塊のツアーとは
 

 1. 団塊世代とは何か

2. ノスタルジー

3. スローライフ

4. 学習するツアー

5.夫婦単位

6. 健康力向上

7. 景観・まち並みを楽しむ

8. アクティブ

9. 社会貢献意識

10. ロングステイ

11.Quality of Life

12.本物志向

13.インターネット

14.環境問題

15.田舎を見直す

16.明確なツアーテーマ

17.新しいもの好き

18.蘊蓄(うんちく)の旅

19. 感動を味わう

20. アンチエイジング







第7回 景観・まち並みを楽しむ
                                                         2006.1.20                 

① まち並みを楽しむ

団塊世代の多くは修学旅行で奈良を訪れたことがあると思われるが、この世代を一つのターゲットとし、もう一度、今度はゆっくり歩きながら景観を楽しんでもらおうと、奈良県が沿道景観の整備も含めた景観形成を計画している。
美しい日本の歩きたくなるみちに選ばれた、奈良市の「佐紀の里・西の京のみち」は、古墳、平城宮跡や唐招提寺・薬師寺などの古寺を、ウォーキングをしながら時間をかけて、周囲のまち並みも含めて楽しんでもらい、天平文化に肌で触れてもらおうとするものである。

まもなく「時間」を手中にする団塊世代には、観光バスにて主要な観光スポットを大急ぎで見て回るツアーではなく、歩きながらゆっくり景観・まち並みを堪能するスタイルが、より好まれるものと考えられる。「歩きながら…」は前回のテーマ「健康」と「景観」を同時に手に入れることができ、一石二鳥となる。また、ガイドブックには記載されていない美しい場所の発見、地元の人しか知らないまち並みを発見することになるかもしれない。

長崎市でも、単にグラバー園と平和公園だけ見て、まちを通過されてしまわないようにとの趣旨から「長崎さるく(注、ぶらぶら歩きの意)博'06」を予定している。歩いて長崎のまちを見て回るコースが42も用意されているが、この中「長崎通さるく」31コースは地元のガイド付きである。団塊世代にとってはガイド付きが、彼らの旺盛な好奇心を満たすのではないか。歴史背景などの解説を聞きながら、まち並みを楽しみたい。

「重要伝統的建造物群保存地区」は、伝統的建造物群を保存したいとする市町村が自ら申請し、国に指定される地区であり、2005年5月現在67ヵ所存在するが、例えば、1976年全国で始めて指定された地区の一つである、萩のまち並みを散策するのも団塊世代を満足させるのではないか。このまちは当初の「堀内」「平安古(ひあこ)」2地区に、その後「浜崎」が加えられ、市内3つの地区が指定されている。江戸時代の地図がそのまま使用可能とのことでありロマンを感じる。毎年何ヶ所か全国の保存地区を訪問する計画をつくり、事前学習をするだけでも何かわくわくしてきそうだ。

 

② 景観づくりを学ぶ

歴史的建造物や文化的遺産がなくとも、きれいなまちを見ることはとても楽しい。特に、これまで忙しく年を経てきた団塊世代にとっては心が和むものである。わが国でも2005年6月「景観法」が全面施行され、ようやく景観を改善する環境が整備された。国に頼らなくても市町村に景観向上意欲があれば、建物の高さやデザイン、色彩についても規制することが可能となった。ただし、行政だけの力では十分ではなく、その地域に住む住民の活動・協力が不可欠となる。

中核都市は、さまざまな景観施策が可能な「景観行政団体」に自動的になるが、その他の市町村は申請しなければならない。2005年9月現在、124市町村が景観行政団体となっているが、75市町村は自ら手を上げている。その中、滋賀県の近江八幡市は全国にさきがけ、景観づくりの基本計画である「景観計画」を策定した。人口69,000人であるが、市内には35ものまちづくり市民団体が存在する。1972年八幡堀の埋め立てを回避、その後堀を浚渫し景観を整備したことでも知られるまちである。また、「水郷」は重要文化的景観第1号に選定されている。

団塊世代の多くは地方から首都圏をはじめとする都市部に出てきた。定年が近づいてきた現在、相当数が故郷に帰り、その景観づくりに寄与するとすれば素晴らしいのではないかと思われるが、各調査によれば帰郷予定者はほとんどいないのが実態である。しかしながら、たとえ帰郷希望者が少なくても、近江八幡市のような景観先進地域を訪問し、景観づくりを学ぶツアーに参加したいとの欲求は、少なからずあるのではないか。学習する過程において地域住民との交流を図ることもできる。また、学習した結果を持ち帰り、自分たちが住んでいる地域において景観まちづくりを手伝うのも、上述のような時代背景を背負う団塊世代には満足度が高いものと考えられる。周囲からも景観まちづくりの主役は団塊世代と期待されているかもしれない。ところで、景観先進地域を訪問する場合には、そこに人が生活していることに配慮し、迷惑をかけないよう注意したいものである。

 

③ 世界遺産に触れる

景観を楽しむツアーの典型的なものは、ユネスコの世界遺産訪問である。2005年現在登録された世界遺産は、文化遺産628、自然遺産160、両者をミックスした複合遺産24の合計812物件である。最近は審査が厳格化しており、原則として各国年1物件の推薦しかできない。参考までに、日本では最新の知床を含め13物件が世界遺産に登録されており、今後推薦予定の暫定リストには、石見銀山等4物件が記載されている。

文化遺産の登録基準には、「人間の創造的才能を表す傑作であること」とか、「景観に関する優れた見本であること」などが定められていると同時に、登録以後の維持管理についても厳しく要求しており、どの物件の景観も見る人々に感動を与える。ちなみに、維持管理状態が望ましくない物件は、登録を抹消されることもある。団塊世代にとっては、事前に十分学習し、現地においてはできれば個別にガイドを付け、その場で疑問を解決しながら、時間をたっぷり取ってこれらの一級品に触れることは大変興味深いものとなる。ただし、何せ812物件と数が多いため自分なりのテーマに基づき訪問先を絞り込み、数年先までの世界遺産ツアー計画を立てるのも一考に値するのではないか。

さらに、世界の景観・まち並みをエンジョイするツアーとしては、ナショナル・トラストが管理しているイギリスの200以上の建物と248,000haの土地、146の「フランスで最も美しい村」、戦後計画的にまち並みが復興されたドイツの都市、過去約半世紀にわたり「タイディタウン(美しいまち)・コンテスト」が全国規模で実施されているアイルランドの歴代コンテスト優勝のまちや村等々、ヨーロッパ各地への訪問が考えられる。ヨーロッパの景観は歴史も長く、学ぶところ極めて大である。まだまだ元気な団塊世代、可能な限り歩いてまちの美しさを味わいたいものである。(太田正美)                                                                            
   

<参考資料>
「21世紀の観光戦略案(奈良県)」(web)
「長崎さるく博 '06」(web)
「UNESCO World Heritage」(web)

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