第27回 大都会を満喫する
2007.9.20
① 都会派団塊世代
ニューヨーク市観光局は今年6月、団塊世代などをターゲットとした観光客誘致のため、六本木ヒルズに日本初の代表事務所を開設した。ロンドン、アムステルダムなどに次いで12ヵ所目である(2007.6.26
asahi.com)。
かつて団塊世代の多くが地方より都会に流入しており、ルーツである田舎のよさを見直したい気持ちもむろん捨てた訳ではない。リタイヤし始めた当該世代を誘致する地方自治体の動きは活発化しており、毎日のように報道されている。
しかしながら、何かとしがらみの多い地方の生活より、匿名性が高い都会での生活の心地よさを満喫している層も多いものと思われる。特に団塊世代女性にこの傾向が強いようである。若いころはシティーボーイ・ガールと呼ばれ、団塊世代は遊び上手でもあった。
今もその片鱗が見られ、長い都会生活と相まっていつの間にか「都会派」が多数派となっているのではないか。田舎へのあこがれを一方で持ちつつ、現実的には都会からなかなか離れられないでいる。最近では郊外から都心のマンションに移り住む団塊世代の動きも見られるようだ。買い物がより便利、習い事や文化に触れる場所がより近いなどがその理由と推察される。
日経MJが2007年上半期のヒット商品番付を発表したが、東の横綱は「都心ランドマーク」である。東京では新丸の内ビルディングと東京ミッドタウン、名古屋ではミッドランドスクエア、大阪ではなんばパークスが相次いで今春誕生している。ホール、劇場、シネマ、美術館、ホテルに加え、レストランやショップが完備されており、都会派をそわそわさせている。団塊世代も興味津々である。いずれも月間100万人以上を集客しており、大人の遊び場と化している。
"60代後半の生活像"調査でも、「都会の生活を楽しみたい」と68.5%の団塊世代が答えており、上位にランクされている(2006 電通「退職後のリアル・ライフⅡ」調査)。最新のトレンドやファッションに常に触れていたい、一流のエンタテインメントを楽しみたい、グルメやショッピング…などと、都会の刺激性という魅力は団塊世代を引き付けて離さないようである。知的欲求を満たしてくれることもあり、個性豊かな大都市には格段の魅力を感じるようである。文化面、スポーツ面のあらゆる要素がそろっており、観劇、コンサート観賞、絵画鑑賞、スポーツ観戦などが容易にできる。かつては大急ぎで巡った海外大都市への旅行も、今後はゆっくり楽しむことに主眼を置くことになる。
② NY、シカゴの魅力
ニューヨークは経済・文化などの世界的発信地であり、刺激性、芸術性、ダイナミズム…、そこには大都会の魅力が凝縮されている。「ビッグアップル」の愛称も何故か団塊世代には懐かしい。NHKは今年6月「ニューヨークまるごと24時間」を放映し魅力の一端を紹介していたが、この番組を見て行きたくなった団塊世代もいるのではないか。
話題のオペラ、ミュージカル、コンサート、ライブミュージックはどれをとっても一流である。300を超える美術館や博物館からは、気に入った所を選び時間に制約されず鑑賞したいものだ。ヤンキース、メッツ主催のメジャーリーグ野球、フットボール、バスケットボールなどを観戦する。さらには都会派らしくセントラルパークでウオーキング、ジョギング、サイクリングをニューヨーク市民に混じって実践してみる。
ニューヨークには、フランス、イタリア、中欧、中南米、インド、韓国、東南アジア等のレストランに加え、日本料理店も約400軒あり、世界中の食文化をエンジョイできる。ランチタイムも楽しい。
食と言えばシカゴ、アメリカ版食い倒れのまちと呼ばれ、全米都市肥満度第2位の"メタボリックなまち"である(2005年、1位はヒューストン)。ちなみにホットドッグにケチャップを使わないのがシカゴ式。シカゴも都会派団塊世代にとっては興味が掻き立てられる場所である。
まずは音楽、夏にはミシガン湖畔にてブルースとジャズそれぞれのフェスティバルが盛大に開催される。シカゴは「キャピタル・オブ・ブルース(ブルースの首都)として世界的に有名であり、是非ともライブハウスでの演奏を楽しみたい。世界屈指のレベルを誇るシカゴ交響楽団を始め、ミュージカルや演劇も一年中楽しむことができ、ニューヨークに引けを取らない。団塊世代には懐かしい長寿ロックバンド「Chicago」はその名の示す通り当地出身である。
シカゴ美術館、フィールド自然史博物館など、質の高いミュージアムも充実している。プロのスポーツチームは6つも存在する。競馬ファンには全米指折りの美しさを誇るアーリントン国際競馬場がある。マクドナルド、プレイボーイ、シアーズやリグレー(ガム)など、シカゴ生まれの企業を訪ねるのも面白い。
③ ヨーロッパの首都を楽しむ
ヨーロッパの大都市もアメリカとは異なる魅力で団塊世代を引き寄せる。共通するのは「まち歩きの楽しさ」ではないか。
ロンドンでは網の目状に張り巡らされ、乗り換えも簡単な地下鉄を上手く利用しながら、あちらこちらのカフェで本場のアフタヌーンティーを楽しむ。イギリス人にとり長期海外旅行中最も恋しくなると言われる紅茶、一体彼らは毎日何杯飲んでいるのか。各国料理の本場の味も楽しめるが、特に中華料理、インド料理には定評がある。24時間眠らないロンドン、パブにも足を運びたい。
シェークスピア以来の伝統を守る演劇を始め、ミュージカル、バレー、オペラなど芸術の中心地でもある。ロンドンには世界トップクラスのオーケストラが4つある。英語が堪能な団塊世代には、英語で上演されるイングリッシュ・ナショナル・オペラを勧めたい。さらに自信のある向きは、ユーモア好きのロンドンっ子と一緒に世界最多を誇るコメディーショーをエンジョイしてはどうか。
ローマは多くの遺跡が物語る歴史と、雑然とした大都会の混沌とのコントラストが面白いまちである。散策の楽しみの一つに、まちの片隅で催されるオープンマーケット訪問がある。蚤の市、アンティーク市と毎日数多くの場所で開かれる野菜果物市の3種類がある。カンポ・デ・フィオーリ広場では新鮮な野菜、果物、花などが売られる。デリカテッセン、ワインバーもあり、簡単な食事をしながら、市民生活の一端を覗くと同時にローマ特有の下町的雰囲気に浸る。
時間を気にせずローマ人のように伝統料理を味わうことも、団塊世代が好む当地での過ごし方になるのではないか。18~19世紀の庶民料理が現在のローマ料理の原型である。スパゲッティ・カルボナーラは元来ローマを取り巻く森の炭焼き人の食事であり、強健な肉体を維持するためカロリーは極めて高い。
東西ドイツ統一後首都となったベルリンは、人口約340万人、東京23区の約1.4倍の面積を有する大都会へと変化している。
団塊世代が第一線で働いていたころ、ドイツ出張の折ないしは現地滞在中にベルリンを訪れ、検問所チェックポイントC(チャーリー)を経て、当時の東ベルリンに入った者も少なからずいると思われるが、彼らにとっては思い出深い場所である。再訪してブランデンブルグ門を見学し、ウンター・デン・リンデン(菩提樹の下)通りを歩きながら、統一されたベルリンの変貌振りを見てみたい。
現在のベルリンにはソニー・センターに代表されるような、世界的な建築家がデザインする新しい建物が並んでいる。一方で、他の都市では見られないほど多くの緑地があり「緑のまち」とも、また"のんびりさ"から「スローライフの大都会」とも呼ばれる。
世界最高峰ベルリンフィルの演奏、昨年登場したシャルロッテンブルグ城でのバロックコンサート、大聖堂内でのオルガンコンサートなど、いずれも高質であり団塊世代を満足させる。
パリ、マドリッド、アムステルダム…、大都会を満喫したい団塊世代にとり、探索するのが楽しくなるまちがヨーロッパには多い。(太田正美)
<参考資料>
「US City探訪-歴史と魅力」(web)
「シカゴ観光の楽しみ」(web)
「Visit London」(web)
「Comune di Roma (ローマ市公式ページ)」(web)
「Berlin Tourism (ベルリン探索)」(web)
「German City Experience (ベルリン)」(web)
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