アメリカ留学記:ダンス学科に飛込んで


シャトルバス事件

 授業開始の前日は、大学で行われた無料のランチョンセミナーに参加した。特に学期開始前は、無料のアイスクリームやグッズ(たいてい大学の名前が書かれた文房具など)など、freeで手に入るものが多いそうだ。実際は授業料とは別に回収される大学運営金の中で、このfreeグッズは賄われているので、厳密には「free」ではないのだが。そしてランチョンセミナー中、衝撃の事実が発覚した。私の、明日から始まる授業のスケジュールは毎日朝8時スタートである。しかし、なんとアパートから大学へのシャトルバスは朝9時からしか出ない、とのことである。入居する前にシャトルバスが出る(シャトル代も払っている)ことはアパートに確認したが、大学と提携していることもあり、当然授業に間に合うように走るシャトルバスだと思っていた。そうでなければ意味がない。明日から授業が始まるという前日に、まさかの事実である。その夜、advisor(授業や進路など何でも相談する、担任のような人)であるジュリーにこの事実を伝え、どうしたらいいか分からないとメールをした。返事は、とりあえず歩くのはどうか、もしくは私の自転車を貸してあげてもよい、である。歩けば30分ほどの距離ではあるが、途中で鹿が出るような草むらを通過しなければならない。雪が降れば(ここの冬は-30°まで下がる極寒地である)歩くことも難しいだろう。何とかアパートにお願いして早くバスを出してもらいましょう、とのことで落ち着いた(私の気持ちは落ち着いていないが)が、本当におかしな、あってはならない話である。アパートの世話係にも、「これらのクラスを取るためにわざわざ(これは言ってないが・・)日本から来た、とても驚いている、早急に時間を早めてもらえないか」とメールした。しかし、シャトルバスは、そう簡単にスケジュールを変えられないとの返事だった。本当におかしな話である。散々アパートの宣伝をしておいて不手際にも程がある。日本語ならもっと的確な言葉で抗議・意見できるのに、と悔しさを感じながら、それでも言えるだけのことをできるだけ主張した。明日、大学入学時のアドバイザーと、Internationalのアドバイザーのところへ挨拶しがてら(2人には3月のオーディションの時に手続きなどの質問で会っていたので)、この件について話してこようと思う。というのは、ここ数日の間誰かと話をすると、学校はどうだ、うまくいっているか、何か困ったことはないか、と聞かれることが多いので、シャトルの話はまさに「うまくいっておらず困っていること」であり、多くの人に話せば話すほど解決は早いと感じたからだ。


 シャトルが出るまで、ルームメイトのリンジーが大学まで送ってくれることになった。彼女は朝授業がないので、私を大学に送り届けるためだけに早起きすることになる。大変申訳ないと思ったが、嫌な顔一つせずに助けてくれる彼女の姿を見て、何て素晴らしいのだろう、いつか何か彼女に恩返しをしたい、と思った。


 数週間後、シャトルを管理しているStudent Government Officeにも数度抗議に行ったからか、めでたく朝の便が開通した。おそらく何人もの学生が抗議したのだろう。これでリンジーに早起きさせることなく一人で大学に行ける。なんとか開通して本当に良かったと思う。



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