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日本の魅力の再発見
玉川大学経営学部観光経営学科 笠谷 奈津子
今回、中国の高さん・韓国の朴さん、そして日本人学生2人で、海外よりの観光客に喜ばれる観光スポットという視点から、国別・世代別の嗜好も考慮し、日本の魅力を再発見することを目的に観光調査を行った。普段自分たちも観光目的で訪れている場所を別の角度から見、新たな魅力や改善点を発見することが出来れば良いと思う。
浅草、谷根千(谷中、根津、千駄木)
第一回は、昔の日本を知るため、下町観光の代表である浅草、まだ観光スポットとしては確立されていないが下町の魅力あふれる谷根千、この二つの地域を選んだ。浅草には、都内最古の浅草寺や日本最古の花やしき遊園地があり、観光地というイメージが強いが、少し路地に入ると、古い家屋や昔ながらの屋台が並び、懐かしい風景を見ることができる。
また、谷根千は観光地というイメージは薄いものの、駄菓子屋や煎餅屋など、あらゆる所に昭和の香りを感じられる店がある。同じ下町ではあるが、それぞれ違う魅力を持つこの二つの地域で、これからのインバウンド(訪日外客誘致)に向けて可能性をさぐった。
まず初めに、水上バスに乗って浅草へ向かった。水上バス乗り場である日の出桟橋周辺は、お台場とは違い、数多くの工場が建っていた。桟橋近くの水面には、ゴミがめだち、外国人観光客には、汚い印象が残りそうに思えた。
水上バスで隅田川を上っていくと、勝鬨橋をはじめ13もの橋があり、陸から見るのとは一風変わった景色を楽しめる。その風景は情緒があり、高層ビルや生活感あふれる住宅もみることができ、外国人観光客には興味深いものとおもわれる。又、水上バスでは中国語・韓国語・英語・日本語での案内アナウンスなど、案内体制もしっかりしており、観光の移動手段としておすすめである。
しかし、水面のゴミや、橋をくぐった際には橋の下の汚れが見えたり、観光面で、手がいき届いていないと感じられる部分があった。夜の水上バスなら、汚い部分も見えにくく、また違った景観を楽しむことができ、新たな魅力が発見できると思った。
次に、浅草を調査した。浅草寺に続く仲見世通りでは、多くの外国人観光客が日本の伝統文化に興味を抱き、満喫しているように思われた。特にアジアからの観光客が多く、また、家族連れが多かった。日本の特徴でもある長い商店街のこの通りは、日本の伝統文化が詰まっており、外国人観光客にとって大変魅力のある場所であると確信した。仲見世は多くの日本人も観光に訪れる場所であり、高層ビルや輸入品に囲まれた現代の若者が、日本を知るにも絶好の場所になっていた。
浅草寺では、おみくじを引き、頭が良くなると言われている煙を頭にかけ、お参りをした。日本人にとって、これは特に信仰心で行っている訳でもなく、一種の習慣であるが、外国人観光客にとっては、とても面白い光景であるようだ。日本でも正式なやり方を知っている者は少なく、願掛けのような意味で行っているが、外国人観光客にとってはこのような習慣がないため、日本人には、当たり前のことが日本の伝統とおもわれている。
また、お寺は、元は中国のものだったが、今では日本の歴史的な意味を持つ重要な文化財になっている。しかし、このことを外国人観光客に説明する以前に、日本人自身が自国の文化を知らなすぎるとおもった。日本人が自国のことを十分に知り、外国人に説明し魅力を感じてもらうことが出来れば、外客を増やすことが可能になるだろう。
どのような国に行きたいかと尋ねられれば、やはり、治安が良いところ、ガイドがしっかりしているところなどが挙げられる。しかし日本は、親近感では下位に位置し、英語の表示やコミュニケーション力が不十分であり、日本人の特徴でもある保守的・謙虚さが自信を持って外国人を案内出来ないことに繋がっている。日本には独自の魅力がたくさんあるが、外国人からは理解されにくいのが現状である。つまり、前述のとおり日本人が母国のことをもっとよく知り、英語のレベルを上げ、そしてグローバルな考え方が出来るようになることが必要である。これらが改善されれば、一度来た外国人観光客がリピーターになってくれるかもしれない。政府がインバウンド政策を行っているが、政府だけでなく一般市民が努力することで、外客を増やすことが可能になると思う。
浅草には、甘味処など和風の食事処が多いが、路地裏のお店で、日本の伝統的な食事であるお好み焼き・もんじゃ焼きを食べた。この店は観光客が入りやすい場所、外観であった。テレビでも紹介された有名なお店で、これが日本のお好み焼き・もんじゃ焼きの味と思われても安心できる味であった。
しかし、自分で作らなければならないため、初めての人・外国人観光客が作ることは不可能。作り方の説明もなく、説明書きも日本語のみで、また、お店に入るまでの並び方やメニューの表示もない。日本語が出来ない人には全く分からない。そのままの日本のお店であることも大事なことだが、外国人観光客への気配りがあれば、より多くの方に、日本の伝統の素晴らしい味を楽しんでもらえるのにと思った。
その後、東西めぐりんバスという浅草周辺を走っている観光バスに乗り、谷根千に向かった。観光地ならではのユニークな形のバスであり、運賃も格安で、アナウンスも日本語と英語で流れており、外国人観光客には、とても便利なバスである。
谷根千ではまず駄菓子屋に行った。私は勝手に、下町のおばあちゃんと仲良く話せるというイメージを持っていたのだが、写真をとっていたら、迷惑そうだった。外国人観光客にとって、駄菓子屋というものは昔懐かしいのものではなく、日本の新しい魅力の発見であり、地元の人とのふれあいも楽しみの一つだと思うので、もっと気さくに話ができれば良かったと、残念に感じた。
次に昔ながらの煎餅屋に行ったが、そこも、同じようだった。谷根千はいわゆる「観光地」とは違うのかもしれないが、観光で訪れる人も多いし、下町の人情に触れたい人も多いと思う。地域のお店としては、迷惑な話かもしれないが、そのような流れの中で、観光客へのホスピタリティにも関心を持ってほしいと思った。
その後、団子坂上にある8月にオープンしたばかりのあめ細工のお店に行った。そのお店は、あめ細工では日本で初めてのお店で、屋台やテレビであめ細工を見ることはできるものの、実演を見ることができるのは日本でここだけ。お客がリクエストしたものを作ってくれる。そこでは店主とおしゃべりをしながら楽しい時間を過ごすことが出来た。ご自身の経歴からあめ細工のやり方まで親切に教えて頂き、私たちのことも気軽に聞いて下さり、交流を深めることが出来た。
お店を後に、徒歩で根津神社に行った。そこで感じたことは、もっと根津神社について調べ、知ってから来るべきであったということだ。ここは何のための神社なのか、なぜお参りをするのか、これは何なのか、日本の習慣を知らない外国人にとって、多くの疑問が湧き出てくるところであり、日本の文化を知ってもらうべき場所であるのに、知識がないと、尋ねられたとき、何も言うことが出来ないからだ。
神社には多くの鳥居が繋がって建っているところがあり、私たち日本人はこのようなところを初めて見たので興奮したが、外国人は、説明がないとあまり魅力的とは思わないかもしれない。高さん、朴さんの反応は今ひとつだった。
根津神社は、池に魚がいたり、地元の人が散歩をしていたりと公園の風景が広がっていた。浅草寺とは情緒の違いがあり興味深かった。最後に、手作りの金太郎あめを売っているお店に寄り、帰宅した。
谷根千は、古い家屋と新しい家屋が混在しているため、観光スポットというよりもぶらりと散策する土地という印象が残った。しかし、もっと谷根千のことを知り昔ながらの家屋や銭湯を見学するプランであったならば、外国人観光客にも喜ばれるとおもう。観光地になることには、地元の人の意見がいろいろあるとおもうが、観光地としての可能性を秘めているとおもった。
六本木
第二回は、前回とは全く違った雰囲気で、日本の都会を感じてもらいたく、今、流行の最先端として注目を浴びている六本木を選んだ。六本木は、80年代のバブル経済期に急成長し、今年の3月に東京ミッドタウンができたことで、更なる観光の盛り上がりを見せている。また、国立新美術館などのアートスポットやクラブなどのナイトスポットも充実しており、昼と夜では全く違った顔を見せる。この六本木で、インバウンドのための観光スポットという角度から、調査した。
まず初めに、乃木坂駅に集合し国立新美術館に行った。この国立新美術館は、国内最大級の展示会場を持ち、有名建築家の故黒川紀章氏により設計され、館内・館外どこにいてもアートな気分が楽しめる。展示内容に関わらず、この国立新美術館という建物自体が観光スポットであり、外国人観光客にとっても興味深い場所となっている。また、六本木全体がパブリックアートの町であるため、美術館と併せて町を散策するのも楽しい。しかし、先進国がアーティスティックな建造物に関心を寄せている現在では、このような建造物は先進国ならば"どこにでもあるもの"なのかもしれない。
この日、国立新美術館では「静物画の秘密」と題された、ウィーン美術史美術館所蔵の75点の作品が展示され、風俗画・寓意画から静物画にいたるまでの展開の跡をたどることができた。静物画は他の絵画よりも深い意味を伝えており、描かれているもの全てにそれぞれ意味が込められている。例えば、展示のメインでもある花や果物の画は、限りある命あるものの儚さが込められていた。私が一番印象に残った作品は、ヤン・フリューゲルの青い花瓶の花束である。ここに描かれている花それぞれに、希望や美しさ、虚栄、儚さの意味が込められており、観客に強く訴えかけているという印象が残った。また青の花瓶が模様から中国のものであることも興味深かった。ここでは、多言語対応可能の音声ガイド機器(有料)が備えられており、外国人観光客にも楽しんでもらうことが可能で、観光スポットとして最適な場所であると思った。
周辺には、六本木ヒルズの森美術館と東京ミッドタウンのサントリー美術館があり、アートトライアングルとして、六本木は美術館好きの観光客にとって、魅力のある町となっている。
次に、東京ミッドタウンに行った。フード・コートで昼食をとったのだが、ここには、和食・中華・韓国料理・イタリアン・ハワイアン・インド料理・スペイン料理など様々な国の料理があり、外国人観光客も、好き嫌いに合わせ、美味しくご飯を食べることができる。ミッドタウン内には、小物のお店や、宝石のように小さくて可愛いケーキをだすスイーツのお店が多く、若い女性に好まれる空間となっていた。
その後、六本木ヒルズに向かった。高さんの話だと、高速道路やお店が建ち並ぶ風景は北京のようだそうだ。ヒルズには、中国大使館が近くにあるため、まるで中国に来たかのような雰囲気の場所があり、中国人や韓国人にとって落ち着くことのできるように思える。ヒルズでは、ガイドブックからトイレの中まで、日本語・英語・中国語・韓国語で表示されているため、観光客にとって利用し易い空間であるのもその理由だろう。中に入っているお店のほとんどがブランドショップなどの値段が高いお店であり、お茶をすることができるスペースが多くあるため、中年女性にとって心地よいスペースである。
巨大な蜘蛛のオブジェ、ママンは、アメリカの彫刻家ルイーズ・ブルジョア氏によって造られたもので、彼女の尊敬する母への想いと、またお腹に卵を抱えていることから、この名称がついた。ママンは、世界中の人々が集まり、新たな情報を紡ぐ場という意味で、六本木ヒルズの象徴とされている。世界中で知られているママンは、外国人観光客にとっても見ごたえのあるものである。
外国にもこのようなショッピングの場所や美術館はあるであろうが、建造物は日本の都会ならではの細かいところまでこだわった良さが出ているように感じた。この六本木という場所は、浅草や谷根千とは違い、他の先進国と同じように、日本の最先端を象徴している場所であるように思う。また、女性の観光客が来たいと思うようなスペースになっている。そして、高級感あふれる雰囲気の六本木には、多くの外国人観光客が来ている。買い物をしている訳でもなく、お茶をしている訳でもない。ただこの雰囲気を味わいに来ているのだ。もし美術館がなければ、東京ミッドタウンや六本木ヒルズのような場所も現在のように盛り上がってはいないだろう。やはりアートな町が人をひきつけるようだ。
夜の六本木はまた違う魅力を楽しめるので、またの機会に体験してみても良いだろう。
今回の経験を通して、中国と韓国には、同じアジアであるため日本と似ている場所が多々あるので、それを知った上で、日本ならではの魅力を伝えていきたいと思った。これからのインバウンドのために、改善しなければならない箇所、魅力のある土地、観光に適する土地を知り、多くのことを学ぶことができた。これを基に、少しでも多くの外国人観光客を日本に招き入れることができるよう、観光に携わる者として調査し考えていきたい。
以上
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