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外国の視点から日本を感じる
玉川大学経営学部観光経営学科 佐藤 信之
-鎌倉・江ノ島-
私たちは日航財団の二人の外国人研修生と共に日本の観光名所を調べることになった。中国人の張さんとオーストラリア人のトリンさんだ。
私たちと張さん、トリンさんで会話をしている中で張さんからは「神社やお寺、日本の歴史が感じられるものが見たい」、トリンさんからは「日本の食文化を知りたい」という意見を頂き、検討の結果「鎌倉、江ノ島」を回ることに決めた。張さんが言っていた「歴史、神社、お寺」の三つと、トリンさんが言っていた「日本の食文化」の全てが当てはまるからだ。私の住んでいる場所から鎌倉へは近いので案内するのには適していると思っていた。日本人には有名な鎌倉、江ノ島は外国の方にはどのように映り、感じられるのかを聞いてみたいというのも選択した理由の一つだ。
鎌倉
まず、私たちは大船駅に集合し、電車で北鎌倉へ向かった。電車を降りると蒸し暑い空気に蝉の鳴き声が重なりそれだけで汗が出てきそうだった。駅から少し歩くと円覚寺が見えてきた。入口には円覚寺と刻まれた立派な石碑があり、円覚寺の壮大さを感じた。先日、日航財団のスタッフからアドバイスを頂き、拝観するのは円覚寺か、建長寺のどちらかにした方が効率よく周れるのではないかということだったが、私自身もそう思ったのでひとつに絞ることにした。文学作品の舞台で知られる大寺院の円覚寺を拝観しないのはもったいない気がしたが、張さんが「鎌倉五山の中でも建長寺は第一位で、円覚寺は第二位」と言っていたのを聞き、円覚寺は別の機会に回すことにした。
しばらく歩いて建長寺まで辿り着いたが、あまりの壮大さに少し言葉を失ってしまった。さすがに鎌倉五山第一位の巨刹である。ちなみに有名な話ではあるが「けんちん汁」の発祥地はこのお寺であるということがガイドブックに載っていた。実際に入ってみると、なにより外国人の多さに驚いた。今では日本人より、外国人の方がお寺や神社に興味があるのかもしれないと思い始めた。建長寺は大変落ち着いた雰囲気があり、広大な土地であるにも関わらず、綺麗に作られていた。国宝の鐘もあり、威厳に満ちているお寺であった。
次に私たちが向かったのが鶴岡八幡宮だ。鎌倉の最も有名な観光名所であり、平日にも関わらず沢山の人が訪れていた。今まで八幡宮には何回も訪れたことはあるが、何回訪れても心が落ち着く場所であることが八幡宮の魅力だと考えた。八幡宮の近くのあまり目立たない所には日本の国歌にも出てくる「さざれ石」が置いてあり、細かな石が一つの大きな岩になっている様子を見て日本の風情を感じることができた。その周りには木々が沢山茂っており、セミを捕まえている子供達の姿を写真に撮っている外国人の姿が見受けられた。日本人が外国人の子供を見るとかわいいと感じるように、外国人が日本の子供を見るとかわいいと思うのは同じなのであろうか。人が人を見る目に文化の違いはないのかもしれない。
その後は小町通りを歩き鎌倉の特産品などを見て回った。それから江ノ電に乗り、長谷駅にある鎌倉の大仏を目指した。長谷駅に着いてから大仏がある高徳院までは歩いて十五分程かかるが、日差しも出てきて暑さもあったので少し時間がかかった。やっとの思いで高徳院に到着し、入ろうと思ったときに高徳院の前には日本刀などが販売されているお店があり、張さんとトリンさんが興味を示したのでそのお店に入ってみることにした。私たち日本人は日本刀などは時代劇やテレビなどでよく見ておりあまり珍しくはないが、外国人には日本刀が新鮮に映っていることに文化の違いを感じた。
お店を見終わり高徳院に入って行った。入ると正面に大仏があり、観光に来ていた人全員が写真を撮るほど立派であった。張さんの話では「中学生の時の教科書に鎌倉の大仏が載っていた」とのことだ。日本人からすれば鎌倉といえば鶴岡八幡宮という印象が強いが、外国人にとっては大仏が先に浮かんでくるということを今回学んだ。大仏の前で写真を撮り、一通り見終わったところで最後の目的地である江ノ島に向かうことにした。
江ノ島
江ノ島までは江ノ電で移動するが、その間の景色が大変綺麗で、電車に乗りながら海を一望できるというものだった。江ノ電のもう一つの楽しさは路面電車であるので、外を見ていると道路の真ん中を走っている感覚が非常におもしろい。そのような景色を見ているうちに駅に着き、江ノ島まで歩いた。途中には海水浴客も沢山おり、賑わっている様子が見てとれた。駅から江ノ島までは歩いて約十五分で着く。江ノ島には屋台で売っているものがあり、サザエの壺焼きなどは大変いいにおいがした。
江ノ島では一番端にある稚児ヶ淵を目的地としていたが周遊する道がなく、頂上まではエスカーというエスカレーターがあり、それに乗って移動した。しかし、頂上から稚児ヶ淵までも距離があり、その道中は階段と坂ばかりだった。
着いた時はちょうど夕日が沈む時間で、夕日と海がマッチし、これ以上ないほどの景色を見ることができた。砂浜の波打ち際ではなく、岩が砂浜の代わりをしている稚児ヶ淵は波が崩れる度に綺麗な水色と紺色のコントラストを醸し出していた。江ノ島からの帰り道は夕焼けに染まった道を駅まで歩き、その後は電車で各々帰宅した。
今回インターンシップの観光調査に行くまでは鎌倉の知識について不足はないと自負していたのだが、まだまだ勉強する余地はあり、今回の調査では自分自身も勉強になった事が多かった。次の日に今回の観光調査について四人で話し合ったが、やはり国が違うと文化も違い、感じることも各々違うことがわかった。私たち玉川の学生は同じような意見もあったが、中国出身の張さんは「鎌倉よりは浅草のほうが世界的に有名なため、あまり鎌倉を知らなかったが今回の調査によって鎌倉の良さがわかった。もっと観光地として世界にアピールするべきだ。」という意見で、オーストラリア出身のトリンさんは「お寺は中国や各国にもあるが神社は日本特有の文化であり神社だけをまわるツアーなどもあればおもしろい。」という意見であった。
私たち日本人には当たり前になっている文化が外国人の目から見ると日本文化への感じ方が日本人とは違うことがわかり、日本を異文化として見るという視点でとてもいい勉強になった。まだまだ鎌倉はアピール不足との指摘に対してはその通りだと思うのでもっとアピールし、日本の素晴らしい文化を世界に広げていきたいと考えた。
-両国・御徒町-
二回目の観光調査は「国技である相撲を見たい」との張さんからの意見をメインテーマとして、両国周辺を調査することにした。相撲を観戦したいとのことであったが、今の時期は場所中でないため稽古場を見学させてもらう予定を立てた。両国の国技館内の相撲博物館には常設展があるのでそちらもプランに加えた。隣には江戸東京博物館があり、江戸時代から東京オリンピックまでの歴史を展示しているのでこちらも日本文化を知る良い機会だと考えた。歴史を学んだ後は下町であるアメ横へ行くことにした。
両国
私たちは最初の予定である相撲部屋を見学するため九時に両国駅に集合した。部屋の前へ着き、扉を開けてみると稽古は既に終わっていて、中に入ることもできなかった。当然かもしれないが、部屋によって練習時間は異なり、私たちが予定していた部屋の練習時間帯の下調べを怠ったことにより、研修生にも迷惑をかけてしまった。
仕方がないので次の予定である相撲博物館へ向かっている最中に、春日野部屋の力士を目にした。写真を撮らせてもらった時に、稽古の時間を伺うとやっているといわれたので見学させてもらうことにした。
部屋にあがるとぶつかり稽古をしている最中であり、その雰囲気の中では言葉を発することすらできなかった。稽古場は大変張りつめた空気であり、全員が真剣であった。親方が指導をしており、厳しい言葉の中にも強くなってほしいという願いがが込められているからこそ厳しく指導できるのだと思った。ホームページによると親方の指導方法は自分が指導してもらった方法を代々受け継いでいるとのことだった。
見学が終わり国技館の中にある相撲博物館へ向かった。昭和三十年代の四横綱展を観覧した。私たち以外は外国人の観光客が多く、色々な言語が聞こえた。しかし展示品の説明は主に日本語で表記されており、先代力士の名前がローマ字で簡単に書かれているだけであった。他の言語の説明を増やせば更に外国人の観光客が期待できるのではないかと思った。決まり手をビデオで流していたのは研修生も見入っていたため言語は関係なく楽しむことができていたと思う。
江戸東京博物館は入ると室内が暗かった。照明によって作品が傷むのを防ぐためだそうだ。カウンターにはボランティアガイドもおり、日本語はもちろん、英語、ドイツ語、フランス語などでガイドすることもできると書いてあった。各展示品には日英の説明があり、外国人の観光客も十分に日本文化を知ることができると思った。
この博物館には展示品だけではなく、体験コーナーがあり、昔の自転車に乗ることや、町火消し(現在でいう消防隊)が目印のため持っていた纏(まとい)などを振ることができた。研修生は体験コーナーが気に入ったらしく大変喜んでいた。お城の模型や日本橋の復元、東京大空襲での焼けて溶けて固まった硬貨などがあり、私たちにとっての日本の歴史を考える良い機会になった。
アメ横
その後アメ横へ行き、浅草などとは異なる雰囲気の下町を知ることができた。私自身初めてだったので楽しみにしていた。売っているものが大変安価で、店と店の掛け合いは聞いているだけで楽しかった。やはり外国人が沢山来ており、店員も慣れている様子だった。観光客だけでなく、近辺に住んでいる人も買い物に来ていた。フルーツの串刺しや、爆弾焼き(お好み焼きを球状にしたもの)が有名であり、歩きながら食べている人が沢山いた。店員が気さくに声をかけているところが下町の雰囲気を出していた。「東京の人は無表情で何かと急ぎ、せかせかと仕事をしている」という張さんの考えはイメージを一変しただろうと思った。隣の店同士の店員が楽しそうに会話をしながら仕事をしていた。
二回目の観光調査は、相撲部屋が印象に残った。偶然見学することができ、稽古を見ることによって調査は成功したのだと思う。相撲に関しては知識が少なかったが、相撲に対する関心が大変高まる経験になった。興味がない人も是非一度見学して頂きたいと考えた。
しかし、稽古は観光として訪れるものではないことに気をつけるべきであり、マナーを守ることができなければ見学することはできないだろう。多くの部屋は外国人だけでは見ることができず、マナーを守ることができない人が多いからなのではないかと思った。しかし「英語や他の言語で簡単にマナーなどを書いてもらえれば守る」とトリンさんが言っていた。
外国人が相撲部屋に沢山来ているという光景を考えると不思議な感じがする。今では日本人より外国の力士の方が強いということも事実である。国技として日本人が勝てないのは気になるが、相撲が世界で盛り上がっていけばインバウンドも増えていくのではないかと考えた。また、今回見学することによって今まで関心が薄かった相撲に対しての知識を増やすことができたと思う。
コースとしては両国からアメ横を調査したが、両国で相撲を見た後は観光名所である浅草に行くのも良いかもしれない。そこで日本文化と歴史を知ることができるので、都内の観光を企画する機会があればこのプランを立てようと思った。
以上
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