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春の旅~桜の花見
ガオ・ティン・ティン
日本について日の丸の国旗以外何も知らなかった私の桜についての第一印象はピンク色の花びらではなく、小学校の音楽の授業で習った「桜」という歌だった。緩やかなリズム、どこが日本風かよく言えないが、なんとなく聞くたびにこれは日本のものだと思ってしまう。桜=japanというイメージはそのときできたのだろう。
中学校に入って、日本語の授業で桜は天皇の象徴となる菊とともに日本の国の花だと知った。一体桜ってどんな花でしょうと思ったとき、ちょうど当時大ヒットした香港の郭富城と张柏芝が主演した映画「Para
Para Sakurasss」を見た。生き生きとした20人の若者が真の愛を求めて、やっとハッピーエンドを迎えた二人の主人公といっしょに桜の雨の中で軽やかに舞うシーンは、桜ってなんて美しいのだろうと感動させてくれた。
大学に入って、学校のすぐ近くに日本政府からいただいた桜がいっぱい植えてある「玉淵壇公園」があると聞いて、桜が咲く最初の春、さっそく友達と見に行った。これで完璧だと思ったが、今回のツーリズム調査の花見で本当の桜はやはり日本にあるのだと気づいた。
新宿御苑
連日の雨がようやく上がって、お日様が明るい顔を雲の後ろから出してくれた。平日だが、公園は花見の観光客で賑わっている。
公園の地図を手に取りながら、散策を始めた。木の葉の隙間から漏れてきた暖かい日差し、池の中でけんかしている魚、あずまやで悠々と写生している素敵なおばあちゃんたち、すべてが絵のように美しい。
撥墨(はつぼく:山水画の技法の一つ。筆に墨をたっぷり含ませて描く)の絵のように、こんもりとした木々に囲まれて、まるで兵士たちに守られている姫様のように立っている桜の木が現れた。濃い緑のなかにいきなりふんわりしたピンクが現れ、いかにも趣がある。
ピンクの雲の中で写真一枚をとり、この雲に乗り、空へ飛んでいって女神にでもなろうと…妄想してしまった。
ジグザグの道から身を出し、目の前にサプライズが現れた。淡いピンクの桜、濃いピンクの桜、全部見たが、目の前に立っているのは淡いピンクにちょこちょこ濃いピンクが混じっている立派な桜だ。一瞬、日本の「さくらん」という映画の艶めいた色が頭をよぎった。金髪の外国人の女性がその下に立っていたが、いっそう美しく見えた。怪しく美しい。
芝生の広場に来たら、家族連れの花見の人たちが、春の日差しに金色の輪郭を描かれながら、はしゃいだり飛び上がったりして寛いでいた。そこで、昔貴族だけが楽しめる花見が江戸時代から一般庶民の楽しみになって、日本の独特な文化になったことはとてもすばらしいと思った。
桜の美しさにぼうっとするようになってしまった私たち三人は、落ち着いた気分になってから新宿御苑を出て、目的地2――上野公園へと出発した。
六本木
上野公園の玄関まで来ると、気品が高い新宿御苑と全然違う雰囲気だ。目に見えるのは人、人、人。騒々しい。
新宿御苑と違って、桜の木一本ぽつんとそこに立つのではなく、並木の桜が雲のように頭の上を覆っていて、壮観だった。ここの桜は花見以外、お酒を飲むグループの天井にもなっていた。日はまだまだ明るいが、青いシートを敷いた空地にデモみたいに座った若者が準備万全で仲間を待っていた。聞いてみたら、お昼の11時頃からもうここにいたそうだ。そのすぐ隣は巨大なゴミ箱だ。
なんてすごい酒飲み精神だろう。
先日ニュースで見たが、11時までに退園しなければならない公園で夜明けまで飲む人がいるらしい。すごいことに、盛り上がったテンションに乗りながら、サラリーマンが木の枝にも乗る。猿みたいに木に登り甲高い声で叫び、泣いているように歌う。
いつも対人関係で自分を抑える、攻撃性が見られない静かな日本人と違ってこんなに羽目を外す日本人を初めて見た。
ひょっとして気晴らしなのだろうか?!
北の丸公園
お堀の淵に立った瞬間、ここは別世界だ!と思った。
壮大な美しさという言葉はこういうときに使うのではないか。満面の桜が咲いた坂の下、桜が水面を覆っている堀はピンク色に染められた大きな川だ。二三の船がいたずらのペンのように、ピンク色の水面に水色の線を引いた。船に乗っているのはどうも若いカップルみたいだが、いい思い出を作ってるねと私はほほえましく思った。日本で一年一回の桜の花見だが、またいつか見れるのでしょうか。 桜は最高だ。
以上
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