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佐野厄除け大師・厄払い体験
2010年1月25日 沈 美玲
日本のお正月というと、家族揃ってお雑煮やおせち料理を食べたり、寺社へ初詣に行ったり、女の子同士で羽根突きを遊んだりするというイメージがあった。しかし、日本人にとってお正月にしなければならないもう一つ大事なことがある。それは厄払いをすることである。
我々研修生がより深く日本の宗教観を理解するために、日航財団は関東の三大師として名高い佐野厄除け大師への見学を案内してくださった。1月14日の朝早く、財団スタッフの吉田さんと研修生のテリさんと一緒に三人で旅に出かけた。快適な東武特急電車に乗ってから一回普通電車に乗り換えて、一時間半くらいで山に囲まれている佐野厄除け大師に辿り着いた。平日のため、開いている屋台は少なかったが、その数の多さから人ごみでにぎわっている様子は想像がついた。約束の時間より少し早めに着いたので、吉田さんの説明を聞きながら、金銅大梵鐘や古いお札の納め所などを見学した。
お寺の方に挨拶してから、2階の和室に案内してもらった。仏像を安置してあり、座布団や仏画のある屏風も置いてあるので、とても落ち着きのある雰囲気が漂っていた。そこで白い袈裟を着ている副住職の旭岡靖人さんとお会いした。やさしい顔つきの方で、想像より若かった。今回の見学内容を簡単に説明していただいた後、早速本堂に入り、護摩焚きを見学した。一回目は途中からだったので何をしているかちょっとわからなかったが、二回目の始まりに護摩焚きに関する説明があったので、やっと理解できた。最初に、太鼓の叩き音とともに儀式が始まった。副住職が護摩壇に座り、火を燃やしながら、特別な手振りを交えて「般若心経」を唱えた。そして、お坊さんたちは合唱をして、同時に祈願をする人たちは手を合わせ、より具体的に願い事を神様に伝えた。その後、副住職はお不動様の徳を称える「真言」を唱え始め、お酒や餅や豆などを護摩木と一緒に火に投げ込んだ。最後に、祈願者全員が順番に護摩壇に近寄り、病気がないように手を火にかざし、煙を体にかけた。再びお不動様に一礼をしてから儀式が終了した。ぐんぐん昇っていく白い煙を見て、神様が喜んでくださって皆の願いごとが実現できたらと心をこめて祈っていた。
昼に佐野の名物佐野ラーメンを食べてから、巫女の装束に着替えてお守りの売り場を手伝った。肌襦袢や白衣や緋袴はもちろん、千早も付いていて、とても正式な装束だった。「犬夜叉」というアニメを見て、巫女桔梗の悠々たる気品に憧れていたが、まさか自分もこんな立派な装束が着られるとは夢にも思わなかった。お守りは1000円と500円二種類しかないので簡単だと言われたものの、方位除災から魔よけのお札までさまざまあったので、すごく緊張していた。お寺の人に手伝ってもらったおかげで意外にスムーズだったので、お守りを求めに来た人々を観察する余裕さえできた。自分のために1個だけ買った若者もいたし、家族全員の分を考えていっぱい買ったおばあさんもいた。ビジネスマンらしく気に入ったものをすばやく取った男性もいたし、ラブラブで笑いあいながらあれこれ見た上でやっと決めた恋人同士もいた。参拝者が選んだお守りを袋に入れて、「ご苦労様でした」と言いながら渡すことの繰り返しだけだったけれど、人々の幸せになりたい気持ちをすごく感じ取ったので、本当に楽しかった。
帰る時に、厄払いのタオルやお箸だけでなく、副住職の旭岡靖人さんの著作もいただき、興味深く読んでみた。魅力的な人柄通りにとても優しくて丁寧な口振りで旭岡さんなりの宗教観を紹介していただき、いろいろと勉強になった。特に「厄年は、交通標識のようなものです」という例えが印象深かった。それは、健康で幸せに暮したい気持ちは誰でも一緒で、そのために普段から体を大切にし、いろいろ気を配る必要があると先人が我々に伝えたい知恵そのものであろう。
以上
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