節分・豆まき

2010年2月8日
沈 美玲


 二月に子供たちが一番期待しているイベントは節分の豆まきであろう。節分というのは季節の移り変わる時、すなわち立春・立夏・立秋・立冬の前日を指している。その中、立春は春だけでなく旧暦では一年の始まりとなっているので、特に盛大な祝賀行事が行われている。その年の干支に当たる年男と年女たちが寺に集まって、鬼払いの儀式「追儺」に参加し、その後「鬼は外、福は内」という掛け声をしながら、豆まきをする。


 東京都大田区にある池上本門寺で大きな豆まきイベントが開催される予定だと知って、財団の花岡さんに案内していただいた。2月3日午後2時ころ、私たち2人は池上の古い商店街を通り過ぎて、本門寺の総門に辿り着いた。初雪を迎えたばかりにもかかわらず、東京は眩しい日差しで暖かい陽気となっていた。光りを浴びながら96段もある有名な此経難持坂を登ったら、立派な仁王門が目に入った。近づいてみると、左右に口を開けていると閉じている二つの赤い金剛力士(仁王)が立っていて、どうもその大きく見開いている目で私を厳しく睨んでいると感じた。花岡さんによると、これは阿吽といって、口が開いているほうが阿で、閉じているほうが吽である。お寺だけでなく、神社でも阿吽の石獅子や狛犬を安置しているという。


 仁王門を通り過ぎると、今回の豆まきイベントの舞台となる大堂に着いた。大堂に繋がる高くて細長い木造の台がすでに建てられていて、赤い布を被っている様子から祝日の雰囲気がすごく伝わってきた。イベントまでまだ時間があったので、関東で最も古い五重塔などお寺の周辺を見学した。豆まきは3時からにもかかわらず、2時半くらいになると、境内にはすでに大勢の人が集まっていた。混乱防止のため、一般の方々や児童、お年寄りを区分けしているだけでなく、警察をはじめ消防士や救急隊などが一斉に出動し隣で待機しているといえば、かなり参加者が多いことが想像できるであろう。


 待ちくたびれて、もう帰りたいと思い始めたころ、いよいよ豆まきの時間になった。私の真正面に立っていたのが衆議院議員の平将明さんで、地元の有名人である。このような大きなイベントにはいつもアイドルや芸人などが参加し、時々お相撲さんも登場するそうである。アナウンサーが開始の指令を出すや否や、年男と年女は一斉に豆を投げ始めた。撒く豆は炒めた大豆で、地面に落ちても汚さないようにきちんと紙で包まれていた。下で待っている人たちは皆手をできるだけ高く伸びながら、「こっち、こっち」と大声で叫んで非常に盛り上がっていた。私も、今度こそ受け取るのだと興奮して手を伸ばしたが、儀式はあっという間に終わってしまった。たったの10分間であった。「頑張っていっぱい取ってくる」と財団の皆さんに自信満々に言ってきたのに、結局三つしか取れなかった。そのうえ、1つが花岡さんからいただいたもので、残りの2つは床に落ちているのを拾ったもので、結局、自分の手で受け取ることができなかった。「豆」はまさに体力と精神力で勝ち取るものだと思った。


 豆まきの後、花岡さんと一緒に大田区の池上梅園を訪れた。寒い風の中、かなりの梅がすでに咲いていた。岡の斜面にピンクと白の梅がが混ざって咲いていて、とても素晴らしかった。梅の種類を記した札を見ながら様々な梅を観賞し、特に紅色が濃い「黒雲」という品種が気に入った。目で十分楽しんでから、口も満足させるようと花岡さんが池上の名物の葛餅をご馳走してくださった。さすが本場の味で他のより粘りが強く、すごくおいしかった。


 今回の見学のおかげで、本当にいろいろ勉強になった。節分ならば家で豆まきをすると印象付けられていたが、お寺で大きなイベントまで行うことは知らなかった。そして、柊鰯を戸口に飾ったり、夜にはその年の恵方に向かって巻寿司を一気に食べたりするのを聞いて、とても面白いと感じた。日本の節分の様々な面を満喫できて本当に良かったと思っている。


以上



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