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ふれ愛の翼・笑顔と涙の3日間
2010年4月1日 沈 美玲
「ふれ愛の翼」という言葉は、初めて参加する私にとって意外にも耳慣れたものだった。先輩ともなるオーストラリアからの研修生テリは去年にこの活動に参加して、3日間子供たちに東京を案内したり一緒にゲームをしたりして、たくさんの友達を作ったと言っていた。
そうは言っても、この活動に関する理解はまだ不十分であり、スタッフとの顔合わせの目的もあって、3月4日の事前研修会に参加させていただいた。打ち合わせを通して、やっと活動の主旨や流れなど活動の全体像をつかむことができた。招待されるのが地方の児童養護施設の6年生で、ほぼ全員が都会に出たことがないという。そして、「ふれ愛の翼に参加することによって、子供たちの将来や人生が良い方向に変わる」のを目標としていることに大変感心した。
私は運営スタッフとして初日のウェルカムパーティーでクイズを出すことになった。中国は多民族を誇る国なので、各民族の興味深い特徴などを紹介したいと思って、人口トップ5位までの少数民族に関するクイズを作った。子供たちにただ話を聞かせるより、目で見てもらったほうが効果的だと日航財団の方にアドバイスをいただいて、展示用の写真や絵をたくさん用意した。クイズに答えて正解だったら中華菓子の賞品が当たるという形にしたが、これで子供たちが喜ぶだろうかと心配しながら、いよいよ3月25日始まりの日を迎えた。
その日、付き添い役の人と一緒に北海道から参加する北見北光学園の子供たちの出迎えに行った。初対面のせいか、子供も付き添いの人も少し恥ずかしそうだった。リーダー役のまきちゃんがそれぞれを紹介すると、付き添いの人が笑顔で自分の担当の子供に右手を出した。「いきなり握手?こんな大人のような付き合い方は子供に通用するの?」と思ったら、子供は照れながらも笑顔でそっと彼の手を握った。身近にこんな感動的なシーンを目撃し、私は思わず涙が溢れそうになった。優しい笑顔と手が触れ合うことによって2人の心は一層近づいたに違いない。
夜クイズを出す時はとても緊張していたが、当初の心配をよそに大成功だった。子供たちはとても集中して各民族の紹介を聞いてくれただけでなく、クイズを出すと「はい!はい!はい!」と積極的に手を挙げてゲームに参加してくれた。そして、「賞品のケーキがめちゃ甘い」と満面の微笑みで喜んでくれたのが今でも目の前に浮かんでくる。皆が盛り上がってくれたおかげでとても素敵なパーティーになり、私自身も楽しむことができた。
二日目は朝早くから運営スタッフ四人でBumbを出発して東京タワーにチェックポイントを設置した。子供たちが10時までに東京タワーに到着できれば点数がもらえ、最後に様々な得点の合計点を競い合うという形のゲームになっているが、一つの班は電車事故で遅れそうになってしまった。子供たちをがっかりさせたくないので、私たち運営スタッフはこっそりと時計を15分遅らせた。チェックポイントに設定したこの時計の「10時」までに到着すれば問題ないからである。子供たちは気付いているかどうかはわからなかったが、喘ぎながら駆けつけてきた付き添いの人は時計を見て気づき、思わず笑ってありがどうございますと小さな声でお礼を言ってくれた。
最後の日には皆で一緒に折り紙飛行機を作った。しかし、1人の子は体調を崩してしまったため参加できず、皆が飛行機を飛ばしている時にずっと後に座っていた。あまりにも寂しそうに見えたので、小さな熊の縫い包みをプレゼントした。その子と言葉を交わしてみると意外に折り紙飛行機に自分なりの意見を持っていた。「飛行機が床にぶつかったら形が崩れてしまうので、実験飛行の回数は少なめにしたほうがいい」という見方をしていて、とても感心した。目がきらきらしている子であった。
この3日間を振り返って見ると、自分が実行したいと思ったことを全部やり遂げたと思う。常に笑顔で接したり、できるだけ子供たちに話しかけたり、最後にお菓子を皆に配ったりした。特に思い出深いのは、子供の中にいつも積極的に私に話しかけてきてくれて、あれこれ様々な中国語の単語を覚えようとした1人の男の子がいた。私もつい彼のことが気になって、一言でもいいから彼を励ましたくなり、最後に短い手紙とプレゼントを渡した。正直に言うと贈り物を用意する時は「これで喜んでくれるかな」と心配したが、渡した時に本人はすごく嬉しそうに「やった」などと叫んで、とても気に入ってくれたようだった。最後の懇親会に彼の付き添いを担当したぐっちーさんまでわざわざお礼を言いに来てくれたので、本当によかったと思う。2人で私の書いた手紙を何回も読んでくれたようで、「ぼくの名前は中国語でこう読むんだ」などととても嬉しそうであった。これを聞いた私も本当に嬉しくて嬉しくて、また涙が溢れそうになってしまった。実は彼に伝えたいことがいっぱいあって、その紙はあまりにも小さくて全部書ききれなかったのだが、私が一番言いたいことはきちんと伝えることができたと思っている。
やはり子供時代は人生にとって一番大切な時期で、その子の未来にも大きく影響している。今回参加した子供たちは両親のいろいろな事情で一緒に暮らせないが、私たちボランティアはその代わりにもっと関心を寄せなければならないと考えている。笑顔で接することなど、自分ができることを惜しまず、助言をすることなどによって子供が将来立派な人に成長できるように大人も考えて行動すべきである。今回の活動について、私たちもボランティアの皆も当初の目標を見失わず、一所懸命努力したと自信をもって言える。
最終日の懇親会に何人かが涙ながらに感想を語って、私も最後に涙を抑えきれず、皆と一緒に泣いてしまった。ふれ愛の翼に参加することによって、本当に数多くの代えがたい経験を得ることができた。そして最後に、いろいろ苦労したボランティアの方々に伝えたい言葉がある。
「素晴らしい思い出をありがとうございました!」
以上
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