TFK見学・衛生に厳しいというプロの拘り

2010年4月27日
沈 美玲


4月21日、久しぶり迎えた春の陽気を浴びて、財団の吉田さんと一緒に羽田空港行きのモノレールに乗った。今回お邪魔するのが空港の隣にある株式会社ティーエフケーで、日本初の機内食を作って以来、JALを始め各国の航空会社に次々と多彩な料理を提供してきた名高い会社である。


 研修ご担当の前川さんと第1ターミナル前で合流して、工場まで案内していただいた。ビルの玄関に消毒液が設置されていて、例え従業員でなくても入館するたびに必ず手指を消毒しなければならないようになっている。さすが食品製造工場であって、衛生管理が厳しいと非常に感心した。


 会議室でTFKさんの紹介ビデオを鑑賞してから、前川さんに会社の基本情報や機内食の製造過程などいろいろ説明していただいた。工場は3階建てで、1階は食材の保存から調理、盛り付け、そして積み込みまで様々な工程を含む1つの生産ラインとなっていて、2階は主に使用済みの食器やギャレーの台車など機用品の洗浄を行っている。そして3階には予備倉庫や機械室、事務室など総務部門が集まっているという。


 説明の後に、私たちは早速専用の服装に着替え、ヘアーキャプとマスクを着用し、作業場へ見学に行った。見学順路は食料品の生産過程に沿ったもので、原材料倉庫から下拵室、調理室、盛付室、カート冷蔵室という順番であった。一番印象に残ったのは調理室にある水蒸気で加熱する大きな鍋であった。その鍋は下の部分が2重になっていて、スイッチを入れるとパイプから水蒸気がどんどん2重の隙間を通っていくらしい。これで、火を通さないから安全だし、水蒸気の最高温度はせいぜい100度で料理が焦げてしまう心配もないからとても便利だそうである。そばに吊っている大きい杓子を使ってシチューを調理する従業員の姿を想像すると、なんとなく魔女がマジックの薬を作っているように思った。新メニューの開発を常に心掛けてきたTFKさんの料理にはおいしいものに対する熱い思いが含まれているから、まさにマジックがあるように魅力的だといえよう。


 それからは2階の洗浄室へ見学に行った。前川さんによると、機内食工場の生産能力に関わるのは一定の時間内にどのくらいの料理が作れることでなく、どのくらいの用品が洗浄できることだという。使用済みの機用品をすばやく洗浄できないとすぐ溜まってしまい、出来上がった料理が次の便に運べなくなるらしい。そして、普通の水で洗浄すると乾燥後必ず水滴の跡が残るため、TFKさんではいつも蒸留水を使っているそうである。お客様にいろいろ配慮し、細かい所まで気を遣ってくれているのはさすが機内食のプロだとつくづく感心した。


 見学後、前川さんからTFKさんの入社教育の資料をいただいた。様々な注意点が極細かくまとめてあって、食品衛生に対する慎重さと緻密さがとても伝わってきた。ふと思うと、前川さんがいつも口にしている単語も同じく「衛生」そのものであった。工場に入場する際はきちんとローラーを使って毛髪を取り除いたり、仕事中にお手洗いに行く時は履物もきちんと履き着替えたりするほか、作業場にもいろいろな工夫があった。例え小さなミスでも大きな事故を起こす可能性があるので、TFKさんは常に自分が担っている責任の重さを意識しながら、しっかりと食品を扱っているらしい。


 安全で安心な空の旅は、航空会社だけで提供できているのではなく、運航するにあたってはTFKさんのように、さまざまな分野の関連会社の努力があって成り立っている。その方たちの気遣いのおかげで、私たちは安心して空の旅を楽しめることができるとのだ実感した研修であった。


以上



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