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千歳JAL国際マラソンと航務部見学
~忘れられない初夏の旅~

2010年6月16日
沈 美玲


 「ふれ愛の翼」の関係で、10年以上も千歳JAL国際マラソンボランティアに参加しつづけている伊藤さんからボランティアの誘いをいただいた。JALのボランティア活動を学ぶとてもいいチャンスなので、ぜひ参加するようにと財団から力強いサポートをいただき、北海道へ1泊2日の研修に出た。

 今年のマラソン大会は6月6日に行われ、めでたく30回目を迎えた。千歳JAL国際マラソンは、地元を始め日本各地そして海外から大勢の人が集まり、あわせて1万人以上が参加する大きな大会である。その日は朝早いため、5日に北海道に入り新千歳空港支店の航務部を見学させていただいた。


 飛行機を降りてから、航務部の宮部さんと合流し、現場で実際に見学しながら説明を受けた。レーダーを見つめてパイロットと無線でコンタクトを取ったり、お客様の人数や位置そして貨物の総重量などカウンターからのデータに基づきバランスよく荷物を積むプランを計算したりして、社員たちは皆一所懸命仕事に取り組んでいて大変忙しそうだった。気流による揺れや巡航高度などのデータを各航空会社でシェアするシステムも紹介していただき、大変興味深い見学となった。


 ちょうど隣が整備士たちのオフィスなので、担当者にお願いをして見せていただいた。ツールの収納場所や事務部門だけでなく、普段なかなか入れない部品倉庫まで特別に見学させていただき、謎の存在でもあるブラックボックスを見ることができた。名前がブラックだけど、簡単に見つかるように華やかなオレンジ色となっていて、最大30分間録音できるらしい。さまざまな研修を通して、珍しいものをいっぱい見ることができて本当に良かったと思っている。


 今回のマラソンのお手伝いは、の第8給水所で働くことになっていたので、同じ第8給水所の担当メンバーと顔合わせを兼ねて一緒に夕食を食べた。もちろん地元のJAL社員が主力団になっているけれど、伊藤さんをはじめ東京から参加するボランティアも何人かいて、皆は本当に積極的で熱心だとつくづく感じた。自己紹介と仕事の打ち合わせをして、皆でとてもいい雰囲気で盛り上がった。

 翌日の6日朝早く、ボランティア全員がマラソン会場である千歳スポーツセンターで集合し、グループごとに各自担当の給水所へ移動した。スポットに着いたら皆で早速テントを張ったり、机を組み合わせたりして、設営作業を始めた。私たちソフトドリンクチームの主な仕事は、スポンサー会社が提供してくれた粉を水に溶かしてスポーツドリンクを作り、そしてコップに注ぎ分けて選手たちに渡すことであった。一気に粉を入れすぎたせいかなかなか解けなくてかなり苦労することもあった。注ぎ分けたコップを一定の距離を置いてテーブルの上に載せると準備作業が完了した。


 午前10時36分ハーフマラソン開始から一時間後、トップランナーが第8給水所を通過した。19キロも走ったにもかかわらずとても速いスピードで通過し、格好良かった。その後ランナーたちが続々と通過してきて、私たちは道端に立ってコップを手のひらに載せて渡した。中にスピードを落とす余裕がなくぱっと取ったランナーもいるし、気を配ってくれてとても丁寧にドリンクを取った人もいる。そして大勢の集団に来られてドリンクの補給がまったく間に合わなくて慌しくなった時もある。


 ランナーたちは年齢幅が広くて、背の低い中学生から白髪のお年寄りまで様々な人がいた。変わった格好をして目を奪おうとするランナーも何人いてかなり面白かった。一番印象深かったのがプラスチック製の仮尻を掛けたおじさんで、遠くから見るとお尻を出しているように見えた。

 ランナーに声をかけて勇気を与えることも私たちボランティアの役目なので、スポーツドリンクを渡す時にいつも「がんばってください!ゴールまで後一息です!」などと大声で励ました。喘ぎながら「もう死んでるわ」と冗談をいう人もいたし、若い女性の応援を受けて「がんばっちゃおうかな」と口だけ元気なおじさんもいて、とても楽しかった。そして「JALもがんばってくださいね」とかえって暖かい言葉をいただき、本当に嬉しくて感動した。

 一日中ずっと立っていたので、マラソンが終わると足が棒になってしまった。それでも心の中は満足な気持ちと達成感でいっぱいであった。関係者によるとほぼ全員が完走できたそうで本当に素晴らしいと感じた。自分が彼らをサポートするどころか、むしろ勇気をもらい励まされたのではないかと思っている。

 マラソン大会を取りまとめ運営してくださった事務局やスタッフ皆さんのおかげで、この夏は誰の心にも残る素敵な思い出となった。


以上



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