JAL財団外国人学生に対する研修 > 花見レポート


美しい春の桜

孔鑫梓



 春は桜の季節だ。春が訪れると、日本は桜の淡いピンク色に染められる。空を覆うような満開の桜の木の下で、弁当を食べながら花見をする日本人。船に乗って、川沿いの桜を楽しむ日本人。太陽の下での花見と一味違ったライトアップされた夜桜を見る日本人。そんな光景を見た私は、「日本人は花見が好きだ」と思わずにいられなかった。今年の春、日本人の友達と様々な形で、存分に花見を楽しむことができた。船に乗り、ゆっくりと目黒川沿いに咲き始めている桜を見て、リズムの早い東京生活から息抜きすることができた。


代々木公園の満開の桜の木の下で、友達と乾杯し、楽しく話し合い、あっという間に時間が過ぎてしまった。また、皇居千鳥淵の周りを散策し、水面に映ったライトアップされた白い夜桜に魅了され、うきうきしていた。息をのむほどの美しい桜の世界に身を置き、日本情緒を満喫することができた。


 いろいろな形を通して、花見を体験してきた私は日本人が花見に夢中している理由を考えてみた。花見文化がそれほど盛んなのは、桜の花に映える美しい春の思い出があるからではないかと思った。中国では、春は始まりの季節だといわれる。一方日本では、卒業式も入学式も春で行われるため、春は始まりの季節でもあり、別れの季節でもある。

3月に卒業を迎えた学生は友達と別れてしまい、今までの生活と一区切りをつけなければならない。哀れなことだが美しいものは永遠に続くわけがない。桜の花のように、満開の時がいくら美しくても、いつか必ず散ってしまう。悔いを残さないために、友達と別れる前に花見をするのだ。 桜の木の下で、喜びと幸せを分かち合い、そして満開の桜に映える友達の一番美しい笑顔を心に留める。別れたとしても、ひらひら舞い落ちる桜の花びらを見るたびに、相手の記憶と声、また、満開の桜に映えるその一番美しい笑顔がきっと戻ってくる。桜の花に映える友の一番美しい笑顔を心に刻み、今後の再会を待っている。笑いと涙が織り交ざっている春色の空の下で、過去とピリオドを打ち、胸を張って希望の溢れる未来にどんどん進んでいく。そして、生まれ変わった自分を期待している。 


 中国に帰ったとしても、来年の春中国で満開の桜を見ると、今年一緒に花見してくれた友達の一番美しい記憶がきっとよみがえるに違いないと信じている。


以上




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