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マナーセミナー研修レポート
2013.4.11 北京外国語大学 張洋
4月3日と4日、私はJプレセンスアカデミー事業グループ主催のマナーセミナーに参加させていただいた。4月から社会人になったばかりの新入社員を対象に行ったセミナーで、企業で働くとき一番基本で一番重要なマナーについて詳しく説明していただいた。二日間にわたったセミナーには、企業にとってマナーの重要性、マナーの五原則、職場での敬語の使い方のような理論的説明もあったが、自分がスピーチしている姿の録画をチェック、電話応対の練習、グループでビジネス場面のロールプレイをするなど豊富多彩な実践訓練もあった。
セミナーの最初、講師は「CS」と「ES」の二つの概念を説明した。「CS」というのは「カスタマー・サティスファクション(顧客満足)」、そして「ES」というのは「エンプロイー・サティスファクション(社員満足)」。この二つの「サティスファクション」を目指して、各企業は自分なりの「企業文化」を築き上げたが、そこにある共通点がある。それはマナーへの重視だ。「マナーは自分のためのものではなく、人のためのもの」と、講師は最初からこの概念を私たちに教え、あとの講座でも何度もこの概念を強調した。マナーは思いやりを行動であらわしたもの。他人への思いやり、心遣いがあるからこそ、社員と顧客の信頼関係を築くことができ、社員同士の付き合いもうまくいく。社員と顧客の満足度が高まると同時に、企業全体の目標もどんどん達成していく。
マナーの重要性を確認したうえで、一人ずつ簡単なスピーチを発表することになった。一分間の短いスピーチだが、ビデオで録画を撮って、自分が話している姿をチェックした。少し恥ずかしい訓練方法だが、このように自分を客観的に観察するチャンスはなかなかない。話すときのスピードと視線、手振り、立ち姿など、普段気づかない細部までチェックすることができた。自分の短所や長所もはっきりわかってきて、講師からも意見をいただいた。「自分をレベルアップさせるにはまずは今の自分を認識しよう」という主旨に基づいた訓練である。
長所と短所を知ったうえで、マナーの基本勉強が始まった。「挨拶」、「表情」、「身だしなみ」、「言葉遣い」、「態度」、この五つのポイントはマナーの五原則と言われている。「この五原則を勉強するときは足し算ではなく掛け算の感じで勉強してください」と講師はこういった。五つの中の一つでも、うまくできてないと全体的印象にダメージをあたえることになるという意味だろう。
一番基本なのは挨拶。「自分の心を開いて、人の心に迫る」ものとして、挨拶は日常でも普通にしているが、状況を問わず明るく挨拶することにより、自分も相手も元気が出る。それからは表情。微笑みは確かに親切な雰囲気を作り出せるが、相手の心境に合わせて、一緒に困ってあげたり、焦ってあげたりすることも大事。講師が特に強調したのは三つ目の身だしなみ。人への第一印象というのはあとで変えようにもなかなか変えられない。いい第一印象を作るには、何よりも身だしなみが一番重要だ。もしおしゃれを「自分を喜ばせるための個性にあふれたものだ」と解釈すれば、身だしなみは相手に見せるためのもので、相手の基準、そして世間の基準に合わせて整えなければならない。清潔感のある上品な雰囲気を作るため、化粧も色合わせも控えめにするのがポイント。四つ目のポイントは言葉遣い。よく使う尊敬語と謙譲語、望ましい職場用語など、以前勉強した経験があってもいざというときはなかなか上手に使えないので、私はいつも困っている。しかし敬語だけをたくさん覚えたとしても、マナーに従ったいい言葉遣いとは言えない。固く敬語を使うよりも明るく優しく話す、笑顔で話す、専門用語や若者言葉のようなわかりづらい言葉を使わず相手のことを考えながら話すなど、ほかに気を配らなければならないこともたくさんある。「五原則」の中で最後に挙げられたのは態度。人をいい気分にさせるには、熱意、誠意そして創意のある態度が求められている。表情や身だしなみのような外面的なものは不足があるとすぐ直すことができる。しかし態度というのは内面的なもの、一旦形成したらなかなか直しにくいので、普通以上に注意した方がいい。この五原則を頭で覚えるのは簡単だが、時間をかけて体や心で覚えてからこそ、本当に身に着けたといえるかもしれない。
一日目最後のカリキュラムは名刺交換の練習。ただ数秒の名刺交換でも決まったルールがあり、相手に失礼にならないようにきちんと勉強しなければならないと思った。マナー世界の複雑さを実感した。
二日目の内容は一日目の復習とそれを踏まえてレベルアップさせるための実践練習。何よりも電話応対の練習は一番記憶に残った。JAL財団に来て実際に電話に出ているが、ちょっと複雑な状況にあうと緊張して頭が真っ白になり、なかなか言いたいことを相手に伝えることができない。だからこの機会を利用して電話応対のコツを身に着けたいとやる気満々だったが、応対の内容は思ったよりも複雑だった。電話には一方性、コスト性、集音性、無記録性の特性がある。そして声だけを使ったコミュニケーションなので、何でも声であらわさなければならないところがさらにハードルを高くした。取り次ぐ対象が離席している場合、休暇を取っている場合、会議の場合…それぞれの状況に合わせて対応しなければならない。そして掛けてきた相手の要求によってメモを取ったり、伝言を残したりすることも忘れてはいけない。何となく流れを把握したような感覚で練習してみたら、敬語の使い間違えを起こしたり、相手の番号の確認を忘れたり、自分の会社の人に「さん」をつけたりして、問題が多かった。練習の録音を聴きながら、講師は一人ずつ改正すべきところを教えてくださった。「今ならどんな電話が来ても大丈夫」という自信はないが、最初より少しはうまくなったような気がする。練習を重ねていけば何とかなる気持ちで、これから毎回の電話を練習のチャンスと考え、自分をどんどん磨いていきたいと決心した。
二日目の午後、いよいよ今回マナーセミナー最後のカリキュラム――グループに分かれてビジネス場面をロールプレイするコーナーに突入。この二日間で覚えたマナーのエッセンスを少しでもおおくアピールしたいため、みんなは発表直前まで練習し続けた。この発表も前日のスピーチのように録画され、みんなでチェックすることになっていたが、ビデオに少し慣れたおかげか、前日より自然に話すことができたような気がする。みんなで自分たちのビデオを見ながら、こういう場面にふさわしい言葉、こんな時にしておくべき準備など色々分析して、自分の意見を発表した。
二日間の研修はあっという間に過ぎたが、いただいたテキストはメモでぎっしりになった。社会人の世界を覗いてみると、自分の知らないことが多すぎると実感した。社会人の道は険しいが、講師の優雅な仕草と優しい指導、一緒にセミナーを受けた新入社員の皆さんの元気な姿を思い出すと、勇気が湧いてきて、「社会人」としての第一歩を踏み出してみたくなった。
以上
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