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マナーセミナー研修レポート

北京外国語大學 周 怡




 3月4日と5日の二日間にわたって、J-Presence Academyで企業における基本のマナーを勉強してきました。
 今まで、マナーと言われても、公的な場所におけるマナーしか思いつきませんでした。大学に入って、就職のことを考え始めて、職場におけるマナーはいったいどんなものかと初めて意識しました。時々、就職はまだ先のことだと安心していましたが、インターンシップが決まった時、もっとちゃんとしなければと決意しました。そういう時に、今回のマナーセミナーに参加することができ、非常にタイミングが良いと思いました。
 冒頭はCSとES、つまり顧客満足と従業員満足の観点からの「企業におけるマナーの重要性」のオリエンテーションでした。その後の内容は主に社会人としての基本的なマナー、中でも挨拶、表情、身だしなみ、言葉遣い、態度という五つのポイントが挙げられ、最後に本題のビジネスマナーの基本(報告、電話応対、来客応対など)が中心となっていきました。二日間で新しいことをたくさん吸収でき、普段の仕事においては何も知らなかった時より少し自信を持てるようになりました。


 次に、この二日間のマナーセミナーを勉強して、それをきっかけに考えたことを次の3点にまとめました。 



 ◆日本の挨拶について
 セミナーで、先生に挨拶の意味(役割)を聞かれました。すると、参加者みんなは「コミュニケーションの始まり?」と呟いていましたが、先生が求めていた「もう一つの答え」はなかなか出ませんでした。そこで、「相手の存在を認知すること」、と先生がおっしゃいました。確かに言われてみると「なるほど」と思うような答えでした。小さい頃、「呼ばれたら返事して。さもないと聞こえているかどうかわからないから何度も呼ばせることになる」と母に注意されたことがあります。考えてみれば、返事と挨拶とは若干違いますが、同じく「相手の存在を認知すること」の役割を果たしています。要するに、社交活動においては、相手の存在を認知することがすべての始まりだと思います。その面においては、「挨拶」は不動の地位を示しています。
 それに、日本語学習者の間に共通の意識としてあるのも、挨拶の重要性だと思います。それともう一つは挨拶の言葉が多いことです。例えば、「行ってきます」と「行ってらっしゃい」、という例はすぐ頭に浮かべます。中国では、せいぜい出かける前に「○○に行くよ」と自分の行先を伝え、あとは「分かった」と返事されるぐらいだと思います。また、「ただいま」と「おかえり」も当時勉強した時には中国語にあたる言葉を思いつきませんでした。結局クレヨン新ちゃんの中国語吹き替え版を見てから中国語訳が分かったくらいです。(例の何度もお母さんに直されているシーン。)
 日本語の挨拶には最初あまり慣れませんでしたが、今は「よろしくお願いします」のような定番の言葉が自然に出てくるようになり、逆に中国語に変えてどう表現するかに困っています。



 ◆ビジネスマナーについて
 公的な場所におけるマナーは基本的他人に迷惑をかけないことが中心ですが、仕事におけるマナーは違います。相手にプラスの心理変化をもたらすためだとセミナーで教えられました。社内におけるマナー(例えば報連相やPDCAサイクル)は働きやすい職場づくりの一環で、チームワークの向上につながります。ビジネスパートナーに接するときに守るマナーは会社の印象付け、信用を構築する一環で、今後のコンビネーション、企業の未来発展を左右します。顧客が対象の人的サービスは他企業と「差別化される」ポイントとなり、もしここでお客様のハートを射止めないと、最終的には企業(特に商社)の生存に影響を及ぼします。CSとESの観点を聞いた後、私はビジネスマナーの重要性をこのように理解しました。
 また、マナーが身についている人とそうでない人とはぜんぜん雰囲気が違ってきます。例えば服装(身だしなみ)がびしっと決まっていると、凛とした仕事をしている感じを与えます。大人の言葉遣いは丁寧さを感じさせます。和やかな表情は親しみやすいサインを出しています。そして、接待や対応がプロの方だと、なんとなくこれからのコラボレーションが期待できます。要するに、その人のマナーを見ると、大抵の仕事ぶりが見えてくると言えるでしょう。絶対とは言えませんが、マナーがよい人なら仕事も問題がないだろうと普通は思ってしまいます。人をレストランに例えると、マナーは店の内装、雰囲気に当たるでしょう。もし店に入って印象がよかったら、料理もおいしいだろうとつい推測してしまうことが多いのではないでしょうか。それと同じくマナーの良い人ならなんとなく信頼できそうな気がします。
 このように、個人にとって、マナーはある意味では自分の看板であり、そしてどんな印象を与えているのか、またはいかに信頼してもらえるのか、の大きな決め手でもあります。実際この前書店に立ち寄ったら、『敬語ノート』『できる大人のモノの言い方』『大人のマナー』のような書籍がお薦めコーナーにざっと並んでいて、中にはベストセラーになった本もあります。このように話題になっているというのは世間からの注目が熱いということだと思います。つまり多くの人がマナーの重要性に気づき始めているのではないかと思います。新入社員に限らず、ベテランの社員もきっとより大人になるために日々努力しているのでしょう。  



◆分かるからできるまで(実践の重要性について)
 今回のセミナーでマナーに関する知識はたくさん学んできましたが、まだ自分のものだとは思えません。先生の解説が全部わかったとしても、できるまでは実践が「王道」だと思います。所謂「習うより慣れろ」ということでしょうか。
 例えば、セミナーで電話の受け方を教えて頂きましたが、実際会社で電話に出てみたら、やはり慣れなくて、難しいと感じました。もちろん、失敗したケースもあります。しかし、ここで電話に出ることを恐れて、ほかの誰かが出てくれるだろうと他人に頼ったら、結局何も進化できません。その代わり、電話にバンバン出て、自分に練習のチャンスを与えたほうがマスターの道だと思います。
 ありふれた見解になってしまいました。それでも三つ目に書こうとしたのは、このありふれた理論を実感したからです。電話だけではなく、ほかの場面におけるマナーも一人前になりたいという願望から、日々練習と実践を積み重ねていきたいと思います。いつか先生がおっしゃったように「意識しなくてもできるようになって初めて自分のものになる」と、その日が来るのを期待しています。  



 以上、今回の研修で一番気になったことを伝えました。二日間で日本の企業におけるマナーをゼロからスタートし、最終的には場面別の基本マナーをほぼ全部教えていただいたという、なかなかできない経験ができて非常にラッキーだと感じました。この二日間が無駄にならないよう、今後もしっかりと活かしていきたいと思います。



以上




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