ひな祭り研修レポート

北京外国語大学 盧雨聡



 3月3日、ひな祭り当日目黒雅叙園と三井記念美術館でひな祭り研修をしてきました。 目黒雅叙園では、毎年ひな祭りの頃、「百段雛まつり」という展覧会が開かれています。毎年のテーマは違って、今年は「みちのく雛紀行」で、東北地方のひな人形が公開されています。


 ひな人形は地方によってそれぞれ違います。かつて城下町として繁栄していた盛岡では、3月はまだ雪が残る時期で、旧暦のひな祭りをしています。今回展示に出されているのは呉服屋として成長を遂げた「糸治のひな人形」です。そして、宮城県の「堤人形」は堤焼きが有名な堤町で作られた土人形です。それに、その影響を受けた岩手県の花巻人形と福島県の三春人形も今度の展覧会で公開されています。このような庶民に愛されている郷土玩具のほか、御所人形や、白石城主の片倉家伝来の優美なひな人形も見学しました。


 そして、今回の展覧会で初めて見たのは岩手県の「奥州水沢くくり雛」です。「くくり雛」とは水沢地方独特の呼び名で、押絵の手法で作られたひな人形です。くくり雛は内裏雛のほか、浮き絵や歌舞伎の人物を題材にした人形が多いそうです。 以前はひな祭りになるとお雛様を飾る風習は知っていましたが、同じ雛人形でも地方によって形や呼び方も違ってくるのは初めて知りました。とても新鮮で、勉強になりました。



 豊富多彩なひな人形だけでなく、目黒雅叙園の百段階段自体も東京都の指定有形文化財産とされているので、見学してきました。百段階段は宴会や食事を楽しむ七つの部屋を階段でつながり、各部屋の内部も華やかな絵が描かれています。ここでおもしろいと思ったのは、百段階段と呼ばれていますが九十九段しかないことです。その原因については諸説ありますが、日本人は奇数が陽数だと思い、縁起がいいとよく言われています。またそのほかに、百は完結をあらわしているのに対して、九十九は永遠に続いていくという意味が含まれていますので、九十九階段にしたともいわれています。 



 午後は三井家のコレクションを公開する三井記念美術館に向かいました。長い歴史を持ち、江戸時代から豪商として伝わってきた三井家は多くの逸品を所有しています。美術館では三井家の茶道具やひな人形、「都のにしき」などを見学してきました。それを見て、さすが三井家だと思いました。三井家のひな人形はとてもきれいで、中に豪華な銀製雛道具もありました。また、茶道具の中で、茶入れや茶碗など華やかで豪華なものもたくさんありました。それに、桃山時代や江戸時代から伝わってきた古きものもたくさんあって、とても感心しました。

 また、今回は一般の展示物だけでなく、特集展示として三井家の薩摩焼が披露されました。色絵の食器がたくさん展示されて、その中でいちばん印象に残ったのは沈壽官造の「色絵飛鶴形皿」でした。翼を開き飛んでいる鶴の形をして、とても優雅で上品なもので、言葉で言い表せないほどの美しさに感動しました。



 こうして、半日間にわたって二か所を見学してきました。日本のひな祭りだけでなく、日本文化についてもいろいろ勉強になりました。この二つの展示に限らず、ほかにひな祭りや日本の伝統的なものと関係する展覧会はたくさんあると思います。このような展覧会は私のような外国人だけでなく、日本人の方々にも日本文化を伝えています。そして、目黒雅叙園のような現代なホテルの内部でも日本の伝統的な素材が使われていることから、日本人は自分の文化を誇りに思い、それを多くの人に伝えようということがわかりました。このような思いに感心しました。


 今回の研修を通じて、外国語を勉強する際は他国の文化はもちろん、自国の文化についても理解を深めることが重要だとわかりました。これからもこのようなことを心がけして日本語の勉強を頑張っていきたいと思います。




以上




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