JAL財団 外国人学生に対する研修




千歳マラソンボランティア

北京外国語大学 盧雨聡



 6月5日、私は北海道の千歳市で行われた第36回千歳JAL国際マラソンのボランティアを体験しました。
 私はスポーツの試合を見るのは好きですが、陸上競技には全然興味がありませんでした。走るだけで何がおもしろいのか、とずっと思っていました。しかし、去年北京で行われた世界陸上選手権大会のボランティアを務めた際に、ボルトさんが100メートルを走ったのをこの目で見て、陸上競技もかっこいいな、と思うようになりました。


  (支笏湖※写真をクリックすると拡大します)

 6月4日、私は千歳に到着しました。今回のボランティア活動の担当者であるカツオさんが迎えに来てくださいました。6月はじめの北海道はまだ寒く、その日あいにく雨も降ったりしていましたが、雨が止み、カツオさんは支笏湖を案内してくださいました。天気がよければ湖は青くてとてもきれいだとカツオさんから聞きましたが、山が雲に囲まれて、深い色をしている支笏湖にはまた別の風情があると思います。


 土曜日の夜は打ち合わせを兼ねて、懇親会が開かれました。私たちがボランティアとして活動するところはマラソンコースの第8給水所です。第8給水所はコースの40キロの地点にあり、ゴールの2キロ手前にある最後の給水所です。第8給水所のボランティアの中にはJALグループのメンバーがたくさんいました。みなさんは全国各地から集まり、中には6年連続参加している方や、楽しいということでお母様までいっしょに参加する方もいらっしゃいました。その夜、経験者の方々から、千歳マラソンのボランティをするのは疲れるけど本当に楽しいと聞きました。しかし、42キロを何時間もただただ走るのはそんなに楽しいことなのか、とちょっと疑っていました。


   (スポーツドリンク担当のメンバーたち)

 6月5日、いよいよ本番の日が来ました。朝7時半、ボランティアのメンバーは千歳スポーツセンターに集合し、各給水地点へ向かいました。私たち第8給水所はスポーツドリンク、水、フード、スポンジの四つのグループに分かれて活動することになりました。そして、私はスポーツドリンクを担当するグループに入りました。私たちの主な仕事はスポーツドリンクを紙コップに注いで、ランナーに渡すことでした。当日は天気が晴れてきて、気温も上がりました。ランナーたちが冷たいドリンクが飲めるように、私たちはスポーツドリンクを一旦桶の中で冷やしてからやかんで紙コップに注ぎました。



 午前10時ごろ、すべての準備が整い、あとはランナーたちが走ってくるのを待つだけでした。そして、ハーフコースが始まって1時間後、トップランナーが走ってきました。さすがトップランナー、20キロを走っても全然スピード落とさず、勢いよく給水所を通過しました。その走っている姿を見て、本当にかっこいいと思いました。その後ハーフのランナーがどんどん走ってきて、ピークを迎えました。一人でも多く、1秒でも早くドリンクを手渡せるよう私も給水所とコースの間を走りながら往復しました。

  (ランナーにドリンクを手渡し)

  

 ハーフのランナーのピークを迎えた後、フルコースのトップランナーも走ってきました。40キロも走ってきたのにまだこんなに速く走れるんだと本当にすごいと思いました。その後フルを走るランナーたちもだんだん押し寄せてきて、また忙しくなりました。
 私はドリンクを渡しながら、ずっと大声で「あと2キロでゴールです、頑張ってください」と応援していました。第8給水所のほかのメンバーも「あと一息です、頑張ってください」とランナーに声をかけていました。ランナーの中は練習を重ねてきた人もいたし、個人の趣味とかで走っている一般人もいました。何十キロも走ってきて、疲れている人はもう歩き始めていました。しかし、私がドリンクを渡したら「ありがとう」と一言返してくれた人がたくさんいました。私だったら絶対話す力もなくなると思いますが、ランナーたちは疲れても「ありがとう」と返してくれました。そのような一言に本当に感動しました。また、ランナーの中に、中国人もいました。中国語で声をかけたら、うれしそうに中国語で「谢谢」(ありがとう)を返してくれました。そのような返事を聞いて本当にうれしかったです。


 ランナーの中で目立つ格好している人もいました。プリンセスドレスを着る女性の人や、ドラえもんの衣装を着ている人や、スパイダーの格好をしている人もいました。ランナーの中でも競技というより、走ること自身を楽しんでいる人はたくさんいるでしょう。


 私は今までマラソンのおもしろさがぜんぜん分かりませんでした。今回のボランティア活動を通して、ランナーたちの気持ちを完全に理解したとは言えませんが、なんとなくその気持ちが分かるようになった気がします。順位を狙って走ったこと、自己チャレンジで走ったこと、ランナーたちはそれぞれ違う目標を持っていたと思いますが、ゴールについたときの喜びは一緒だと思います。
 私はいろいろなことに熱情を持っていますが、長く続けられないところがあります。今回のマラソン大会を体験して、ランナーたちのその「諦めない、最後まで頑張る」精神に感心しました。これからは私もそのような精神を生かして、何があっても諦めず、目標に向かって頑張っていきたいと思います。


   

    (第八給水所のメンバーたち)



以上




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