活動紹介:地球人育成プログラム 外国人学生に対する研修プログラム

2023JALスカラシッププログラムレポートハノイ貿易大学 レー ティ フオン クイ

6月22日から7月13日まで、JAL財団事務局のメンバーとして、2023JALスカラシッププログラムの運営に携わった。新型コロナウイルス感染症の影響が少なくなったため、今年は4年ぶりに海外スカラー生が来日でき、JAL財団の細やかな準備の取り組みがよく感じられた。

今回のスカラシッププログラムには19人のアジア・オセアニアからの海外スカラー生と、8人の東京スカラー生が参加した。私は事務局の仕事以外に、普通の参加者のように他のスカラー生と一緒に学んだり、活動したりした。2023年のテーマは『「SDGs」〜持続可能な未来へ〜未来に続く豊かさのために、環境について考えよう』である。私はSDGsについては聞いたことがあったものの、詳細はあまり知識がなかった。このプログラムへの参加を通じてSDGsと環境問題について学ぶ機会を得られたことは、本当に貴重な経験だった。

JALスカラシッププログラムはオンライン研修7日間と対面研修15日間の二つのパートに分かれている。優秀な人材が集まっているため、日本語を共通の言語としたコミュニケーションに全く問題がなく、上手に会話できたことは本当に素晴らしいと思った。

オンライン研修は、JAL財団の活動紹介やSDGs、環境問題に関する講義やゲーム、プログラムでの目標設定など、基本的な知識を身に着けることについて学ぶので、非常に大切である。これによって、対面研修に入る前により良い準備ができたと思う。

最初はスカラー生同士まだ恥ずかしさを感じたものの、アイスブレイクや事務局と東京スカラー生の努力により、徐々に親しい関係を築き、意見を積極的に交換できるようになった。参加者たちが異なる視点や価値観から環境問題を見ることで、自分の世界を広げることができるのは面白かった。どんな国でも環境問題に直面しているという共通点があることを認識し、一緒に協力して解決策を模索する意欲がだんだん強くなった。

オンライン研修

オンライン研修が終わってから、来日の準備と移動のための2日間がある。オンライン研修ではコミュニケーションが限られているため、皆が対面研修で直接会えるのを楽しみにしていることが感じられた。私も対面研修を楽しみにしつつ、素晴らしい出会いと学びの日々を過ごせることを祈った。

対面研修の1日目は、長時間の飛行機で移動した後、疲れた海外スカラー生がゆっくりできるように、東京のホテルでオリエンテーションやチームビルディングなどの簡単な活動から始めた。参加者たちにとって、新しい環境に慣れるためにこの日は非常に重要だった。

当日色々なゲームをしたが、その中で私が一番印象に残ったのはペーパータワーというゲームだった。紙を使ってできるだけ高いタワーを作るというルールであった。皆は真面目に考え、グループメンバーで意見を交換し、作戦を立て、最終的な作品を作った。途中でペーパータワーが倒れることもあったが、そのチームは改善策を検討してから、再度挑戦した。このゲームを通じて、SDGsや環境問題への取り組みと同じように、仮説を立て、検証し、足りないものを探し、また1人よりも多くの人から意見を出すことの重要性をスカラー生に伝えたかったのである。この日を通して、参加者たちは新しい環境に順応し、グループとしての結束力を高めることができた。

ペーパータワーの制作

2日目からは、5日間の福岡への旅が始まった。最初に訪れた場所が宗像大社だった。そこに到着する前に、バスで宗像三女神の話について聞いて、興味深かった。日本ではどんなお寺や神社でも面白い裏の話があって、日本人の想像力は本当に高いと思った。宗像大社の高宮で参拝する際には、正しい手順やマナーに注意し、心を清めてから祈りを捧げたとのことを学んだ。これは日本の伝統的な信仰と文化に触れる特別な体験だった。

3日目には福岡教育大学生と出会った。バスが到着したとき、福岡教育大の学生は玄関に並んで、私たちに手を振りながら、出迎えてくれた。それから、私たちは一緒に清野先生の「海洋保全と私たちの暮らし〜宗像の海再生に向けて」の講義を聞いたり、昼ごはんを食べたり、キャンパスを見学することで、より深い理解と親しみを持つことができた。特に2030年の未来を想像して意見交換をした際に、友達の発表に触発され、自分自身の考え方を反省した機会があった。自分の想像が悪い未来に偏ってしまうことに気づいた。未来には困難な課題が待ち受けているかもしれないが、希望を持ち、前向きな姿勢で取り組むことで、変化や解決策を見出すことができることが分かるようになった。

4日目はビーチクリーンの日なので、少し大変だったが、その経験は忘れられない記憶になった。午前中は雨が降っていたものの、皆は雨の中で一生懸命にビーチでゴミを拾い、きちんと分別する姿勢を持ち、困難な状況にもかかわらず、熱心に取り組んだことが感動的であった。

雨の中でのビーチクリーン

午後はフェリーで大島に向かい、そこで大島学園の中学生たちと共に海岸漂着ゴミを清掃した。自然に溢れた美しい場所であるはずなのに、ゴミによってその美しさが台無しになっている現実を目の当たりにしたことで、環境問題の深刻さを改めて感じた。特にその海岸に流れてきた自分の国からのペットボトルを見せられた際、とてもびっくりした。私たちは同じ地球に住んでおり、どんな行動でも他の人と国に影響を及ぼすので、国境を越えた環境問題に対する責任を持つ必要があることを実感した。
また、その中学生たちが海岸でゴミを拾うことに慣れた姿を見て、小さい頃から環境問題への理解を身につけていることが本当に素晴らしいと思った。子供たちの意識と理解は将来の環境への貢献につながるための大切な要素だと思う。自分の国の子供たちもこのように環境問題についての教育を受けることができたらいいなと考えた。活動後に清掃した海岸の美しく生まれ変わった姿を見ることができ、自分たちの手で少しでも地球環境を良くすることができた喜びと達成感を感じた。
その後、拾ったゴミの中から一つを選び、グループごとにそのゴミがどのように日本の海岸に流れ着いたのかを想像し、それを元に紙芝居を作成した。中学生たちとアイデアを交換した際、子供たちの考え方の面白さと想像力の豊かさに感心した。この活動の後、私たちはゴミの由来についてより深く考えることができた。

5日目のタカミヤ環境ミュージアムとシャボン玉石鹸工場、そして魚町商店街への訪問では、多様な視点からSDGsに関する学びを得た。
特にタカミヤ環境ミュージアムでの北九州の公害克服の話は、私に強い印象を残した。北九州が経済成長とともに深刻な公害に直面した写真を見た際に、その状況に対する恐怖を感じた。しかし、その苦しい状況で母親たちが子供の健康を心配し、自発的に大気汚染と状況を調査し、積極的な運動を起こしたエピソードには感動した。このような市民の熱意と行動により、市民・大学・企業・自治体が一体となって公害問題を解決してきたことで、北九州は昔のような美しい姿を取り戻した。この話から、皆が協力し助け合うことで、奇跡的な結果を生み出すことができるという信念を持つようになった。

6日目に私たちは福岡に別れを告げて、東京に戻ってきた。その日は初めて東京スカラー生に直接会えたので、すごくわくわくした。それから、電車で移動し、JALスカイミュージアムに伺った。ミュージアムでは、航空機のメンテナンスや整備に関する展示があり、航空業界の裏側を知る貴重な体験となった。それに、航空機の安全性や維持管理について見学することで、航空産業に対する興味が高まった。

JALスカイミュージアムの見学

7日目にはTESSEI社(新幹線車内清掃会社)を視察するチャンスがあった。新幹線の車内清掃という日常的な作業が、実際にどれだけの工夫や努力が必要なのかを理解することができた。彼らの動作は迅速で効率的で、7分間だけで車内を綺麗にできることは本当に素晴らしかった。車内の掃除だけではなく、乗客の快適な滞在をサポートするために、細かいところまで気を配っていた。非常に興味深く、洞察に富んだ体験だった。

TESSEI社の見学

8日目には日本フードエコロジーセンターへの訪問で、循環型経済やSDGsへの取り組みに触れ、自分の食生活に対して意識を見直すきっかけとなった。
また、当日スカラー生の皆が一番行きたかった場所はおそらくジブリ美術館だった。私がジブリ作品に愛着を持っているために、この美術館は特別な場所となった。美術館内では、ジブリ作品のシーンが再現された展示や、ジブリの音楽が流れる部屋など、ファンにとっての夢の場所みたいであった。

日本フードエコロジーセンターの見学
ジブリ美術館にて

9日目の三輪の里山での間伐や下草刈りの体験は、自然との触れ合いと地域への貢献を経験できた有意義な時間だった。間伐や下草刈りの作業は、初めてのことだったが、地元の方々から丁寧な指導を受けながら進めることができた。自分の手で木を切り、草を刈る作業は力仕事だったが、それによって里山の美しい景色を保ち、地域の生態系を支える役割を果たしていることを実感した。

10日目の武蔵野クリーンセンターでの見学は、廃棄物処理に対する新たな理解をもたらした。
特に印象的だったのは、廃棄物処理場なのにゴミの匂いが全くしなかったという点である。それは技術改善の努力により、環境に配慮した処理方法が採用されているからである。
また、午後にはお笑いコンビマシンガンズのひとりで、ゴミ清掃芸人としても活躍されている滝沢さんの「日本の廃棄物処理の現状について」の講義で、日本の最終処分場の寿命が23.5年しか残っていないということに驚かされた。このまま何もしなかったら、将来ゴミを捨てられなくなってしまうということは想像に難くない。この悲惨なことを回避するためには、日常生活で廃棄物を減らし、分別を正しく行うことが重要であることを再認識した。

11日目からグループごとに海外スカラー生と東京スカラー生が協力して、JALスカラシッププログラムを通じた学びや考えを元に、SDGsのテーマに沿ったアクションプランを作成した。夕食の後でも、遅くまで相談し、真剣にスピーチを練習する姿が熱意と情熱を感じさせた。彼らは自らの経験を活かして、SDGsの達成に向けて具体的で素晴らしいアクションプランを創出した。こうしたプランを通じて、実行に移すことで、持続可能な社会の実現に寄与する可能性が高まる。これからそれぞれのアクションプランが地域や社会に良い影響を与えることを期待している。

アクションプラン発表の準備

3週間が経ち、スカラー生の皆は全然知らなかった人から家族みたいになった。最初の数日間は緊張していたものの、異なる国から来た素晴らしい参加者たちと出会い、国際的な友情を築くことができた。共に学び、笑い、困難を乗り越える経験は、一生の思い出として心に残るものとなった。また、自分の国や文化を誇りに思うと同時に、他国の多様性を受け入れる大切さを学んだ。
それだけでなく、SDGsと環境問題についての知識と認識を高めることができた。エコバッグやマイボトルなどを持ち、フードロスをしないようなスカラー生の行動の変化と成長が、明確に観察できた。これによって将来の生活が少しでも良い方向に進むことができると信じている。

参加者として参加することも大切な経験だったが、事務局としてプログラムをサポートし、プログラムの成功に貢献することはまた別の意義がある。プログラムの前段階での準備や、空港で海外からの留学生を出迎えたり見送ったりする役割、フェアウェルパーティの司会進行、アンケートの作成と集計など、これらは初めて経験することであった。仕事を通じて信頼関係、思いやり、責任感の重要性を理解するようになった。ミスを犯すこともあったが、それでも恐れずに責任を取り、ミスを修正し、ミスから学ぶことの大切さに気付いた。この過程で、事務局メンバーから優しくも厳しく指導していただき、本当に勉強になった。プログラムの計画や運営に携わることで、多くの人の努力がプログラムの成功に繋がることを実感できた。そして、たくさんの人に喜びや学びを提供することができ、とてもやりがいを感じることができた。参加者として得た貴重な経験と、事務局の一員としてJALスカラシッププログラムの手伝いで得た新たな価値とやりがいは、私の人生の豊かな一部として輝き続けると思っている。

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