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活動紹介:地球人育成プログラム 外国人学生に対する研修プログラム
JALスカイミュージアム・安全啓発センター研修ハノイ貿易大学 レー ティ フオン クイ
9月20日に、JALスカイミュージアムと安全啓発センターを訪れた。
JALの創立から現在までの歴史やJALスタッフの業務、格納庫、そして以前のJALの飛行機事故について学ぶ機会を得た。この見学を通じて、航空業界に関する知識を深めるだけでなく、安全の重要性についても再考することができた。
当日、私は東日本鉄道文化財団の研修生と一緒に見学した。この見学は、日本航空の協力のもと、JAL財団が東日本鉄道文化財団で研修しているアジア諸国の鉄道会社の若手社員を受け入れる活動である。
研修生は鉄道会社出身だが、鉄道と航空は両方とも高い安全意識を必要とする共通点がある。そのため、この研修はJALの安全対策と過去の事故を見学することで、自身の業界に関連付け、安全意識を向上させる目的がある。これは非常に実用的で、有意義な見学だと思えた。
特に印象に残ったことは、研修生が見学の内容をより理解できるように、東日本鉄道文化財団では研修生の国ごとに通訳者が配置されていたことである。担当者が説明を始めると、通訳者が迅速に通訳を開始し、複数の言語が飛び交う中で部屋が活気づいた。通訳が終了すると、再び沈黙が戻り、担当者が説明を続けるという面白いサイクルが続いた。
時々日本語の内容を聞きながら、目的言語に通訳する通訳者の様子を見て、驚かされた。航空業界の専門用語が多いにもかかわらず、彼らがスムーズに通訳できる姿に憧れを感じた。しかし、それを実現するには準備が必要で、この見学前に航空業界の知識と専門用語の事前学習を行わなければならないと思った。
一度の説明だけでは情報を覚えきれないので、ほとんどの通訳者は情報を整理するためのメモを持っていた。私は通訳者の一人にメモを見せていただいたが、メモを取る時間が限られていたため、主に数字やキーワードだけが書かれていた。それでも、これらのメモは通訳者の仕事に非常に役立つものであり、実際に通訳の不可欠なツールとされている。
カッコいい通訳者の裏には、日々の言語能力向上と知識、スキルの積み重ねがあることがよく感じられた。この機会を得たことにより、通訳者に非常に感銘を受け通訳の仕事に興味を持つようになった。
私たちは、まずJALスカイミュージアムでミュージアム体験と格納庫を見学した。ミュージアム体験はスカイランウェイ、アーカイブズゾーン、フューチャーゾーン、皇室フライト・特別フライト、ミュージアムショップに分かれている。その中では、スカイランウェイでのお仕事紹介とアーカイブズゾーンでの客室乗務員の歴代制服展示が一番印象的だった。
スカイランウェイでのお仕事紹介のコーナーでは、運航乗務員、客室乗務員、グランドハンドリング、グランドスタッフ、整備士について色々な興味深い情報を提供していただいた。
たとえば、整備士の仕事については、点検整備の部品数は数万個にも達し、扱う工具も飛行機の部品や整備内容に合わせて用意されている。そのため、整備士は工具をなくさないように、常に確認と整理整頓に気を配っていることが強調されていた。
この情報から、整備士の仕事が安全に関する重要な責任を担い、高度な専門知識と慎重な性格が求められていることを実感した。また、仕事内容だけでなく、各職種を象徴する仕事道具などの実物も展示されていた。これにより、各職種の特徴や重要性を生き生きと理解することができた。
アーカイブズゾーンでの制服展示では、JALの発展に沿って制服の移り変わりを展示している。現代のJAL制服の落ち着いた色合いデザインと、最初のJAL制服の明るい色合いやリベラルなスタイルとの対比に、驚きを覚えた。時間を経るにしたがって、色、スカートの長さ、帽子、スカーフ、靴下、靴など、細かな変化が明確に見られた。各制服を見ながら、当時の流行を想像し、時代の変化を実感できるのは本当に面白い体験だった。
その後、ヘルメットをかぶり、飛行機の格納庫に移動した。ここは飛行機のメンテナンスや点検を行う場所である。通常、同じメーカーの飛行機を見ると、細かい違いには気づかなかったのだが、その日は二つの飛行機が格納庫にあり、その大きさ、収容能力、翼の形などについて説明を受け、「なるほど」と理解することができた。そして、初めて整備士が飛行機の整備を行う様子を目にした。彼らが丁寧に作業する姿を見て、飛行機の安全運航への取り組みを感じた。
格納庫の中から、JALの飛行機が近くで出発するのを見るのは素晴らしい光景だった。それらの便が無事に目的地に到着できるのは、JALのスタッフの一人ずつの努力によるものである。
最後にJAL安全啓発センターを訪れた。ここは私にとって最も多くのことを考えさせられた場所だった。
飛行機は移動手段の中で最も安全な手段とされているが、実際にはJALグループにおいて、過去にいくつかの事故が起こった。その中で、1985年8月12日のJAL123便の墜落事故は最も深刻な被害をもたらした出来事の一つである。
JAL安全啓発センターは、そのJAL123便の事故に関連する残存機体、コックピット、遺品、乗客の遺書、事故の報道と写真を展示しているところである。
JAL123便に搭乗していた524人のうち、520人が亡くなり、4人は重傷を負ったものの救出された。本当に悲しい死亡者数である。飛行機は万が一事故が発生すると、その被害は想像を絶するほど悲惨なものとなる。
事故で壊れた機体、乗客の遺品を見ると、飛行機事故の悲劇的な現実を強く感じた。特に、乗客の遺書を読む際、あまりにも悲しいため涙が出そうだった。手書きの言葉には、生き抜く意志と、家族や友人へのメッセージが込められており、その状況の恐ろしさと絶望感が鮮明に伝わってきた。
この事故は、同機が7年前に大阪で尾部接触事故を起こし、その修理中に誤った問題が発生したことが原因である。修理ミスにより、7年間の飛行でその部分に多数の亀裂が生じ、最終的に大きな穴が開いたと考えられている。
つまり、事故の原因は人間の注意不足であった。この事故だけでなく、他の飛行機の事故の原因のほとんども人間のミスか、航空会社がスタッフの健康管理をよくできていなかったためと教えていただいた。JALは安全意識を高めるために、全ての社員に安全啓発センターの見学をさせており、安全性の再確認の活動としている。
この事故の後で、多くの人々は航空安全に対する不信感を抱いた。しかし、JALグループはこの状況で責任から逃げず、むしろ二度とこのような事故を起こさないための決意として、安全啓発センターを設立した。ミスを克服しようとする姿勢こそが、徐々に顧客からの信頼を取り戻す鍵となった。
このJALの姿勢からは良い教訓を得た。一度もミスを犯さない人はいない。しかし、大切なのは、ミスを犯した後の態度と行動である。一部の人はミスを恐れて逃げようとすることがあるが、このアプローチは問題を解決しないし、将来的に同じ失敗が繰り返される可能性が高い。その代わり、ミスを認め、どこで間違ったかを振り返り、改善策を見つけることが重要である。ミスを克服しようとする姿勢は、周りの人々に受け入れられる。ミスから学ぶことは成長に欠かせない要素である。
また、逆の立場に立つと、他の人がミスを犯した際には、直ちに非難せず、ミスを訂正する機会を提供することも重要だと考えた。
今回の見学を通じて、航空業界の仕事、歴史の流れ、文化について理解することができ、JALの長い歴史を強く感じられた。その間に、飛行機のデザイン、制服、技術の進歩などが時代に合わせて変化してきたことは明らかだった。
さらに、最も大事なことは安全性についてである。小さなことでも、深刻な事故に繋がる可能性があるので、細部に注意を払うことは絶対に無駄ではない。
また、航空業界の多くのスタッフが協力して飛行機を安全に運航するために努力している姿に感銘を受けた。整備士、運航乗務員、客室乗務員、グランドハンドリング、グランドスタッフなど、それぞれの役割が連携し、航空安全に尽力していることを知った。
この経験を通じて、航空業界の重要性と安全性への取り組みを深く理解し、今後も安全な旅を提供し続けるために必要な努力と責任を再確認できた。