活動紹介:地球人育成プログラム 外国人学生に対する研修プログラム

ビジネスマナー研修レポートインドネシア大学 アシラ・ムティア・リスキー(25年度JAL財団インターンシップ生)

日本で働く経験をすることは、世界中の多くの人々にとって大きな夢の一つです。日本は清潔で安全な国として知られているだけでなく、社会制度も非常に整っており、自己の可能性を伸ばしながらプロフェッショナルなキャリアを築くための理想的な場所となっています。規律があり効率的な日本の職場環境は、高い国際的労働基準を体感したいと願う人々にとって、大きな魅力となっています。

さらに、日本には、海外の若者を対象とした様々な育成プログラムを積極的に展開している企業の財団(ファウンデーション)が多数存在します。奨学金(スカラーシップ)や国際コンテストなどのプログラムは、日本の文化や労働倫理をより深く学ぶ機会を提供するとともに、企業と共に成長していく道を開いています。

このような取り組みは、日本航空(JAL)も行っており、JAL財団を通じて、日本と世界の架け橋になるプログラムを提供し続けています。2025年度においても、JAL財団は日本での就業体験に関心を持つ海外の参加者に対して、再びインターンシップの機会を開きました。

今回、私はJAL財団インターンシップ生の一人として選ばれるという機会を授かり、約6か月間のインターンシップに参加することになりました。私はインドネシアのジャカルタ出身で、現在は大学の3年生です。JAL財団のインターンとして選ばれたことは、私にとって非常に貴重な機会であり、大きな誇りでもあります。これが私にとって日本での初めての就業経験であり、これまで本やインターネットを通じて学んできたことを、JAL財団のインターンシッププログラムを通して実際に体験できることを、大変幸運に思っています。

書籍やインターネットを通じて日本の職場文化について学んでいたものの、実際に日本の職場文化を体験してみると、思っていた以上に多くの違いがあることに気づきました。もちろん、JAL財団はインターンとして働く参加者の不安を十分に理解しており、そのため、インターンシップ生には日本のビジネスマナーを直接学べる機会を提供しています。

このビジネスマナー研修の機会は、JAL財団を通じて提供され、株式会社パソナHRソリューションによって実施されました。パソナHRソリューションのオフィスは青山にあり、外苑前駅の近くに位置しています。研修は、パソナHRソリューションのオフィス内の教室で2日間連続で行われ、時間は午前10時から午後5時まででした。この期間中、2名の先生から指導を受け、他の4名の参加者とともにビジネスマナー研修を受けました。

研修初日は2025年5月19日でした。私は朝9時頃にパソナHRソリューションのオフィスに到着しました。その朝の時は比較的静かで、初めて日本でのビジネストレーニングに参加するということで、少し緊張していました。待合室で少しの間、気持ちを落ち着かせながら待っていたところ、いよいよ研修が始まりました。

最初のクラスは、今回の研修の全体的なオリエンテーションから始まりました。このオリエンテーションでは、日本の職場におけるマナーの重要性について、詳しい説明がありました。マナーとは、単なる礼儀正しさではなく、職場での円滑なコミュニケーションや健全なビジネス関係を築くために大事な要素であると教わりました。仕事をする上で、どんなアイデアや考え、感情であっても、適切なマナーをもって伝えることが求められます。これは、誤解を避け、特に調和や敬意を重んじる日本の職場文化において、スムーズなコミュニケーションを実現するために非常に重要なことです。

マナーに加えて、私たちはCS(顧客満足)とES(従業員満足)の概念についても紹介されました。日本の職場文化において、これらの二つの要素は、効果的かつ生産的な職場環境を作るための二本柱と考えられています。顧客満足を大切にするということは、プロフェッショナルで親切かつ時間を守ったサービスを提供する必要があるということです。一方、従業員満足を維持するということは、互いに尊重し合い、支え合う職場関係を築くことが求められます。両方がうまく機能することで、顧客や同僚からの信頼がさらに高まります。

オリエンテーションのセッションが終わると、次は「自己紹介」に関する内容に移りました。このセッションでは、自分自身の長所と短所を正直に見つめ直すよう促されました。そして、その自己分析の結果を「自己紹介ビデオ(VTR)」として発表するよう求められました。VTR撮影の前には、良い自己紹介の構成や話し方を準備する時間がありました。日本の職場文化において、自己紹介は非常に重要であり、第一印象として他人の見方を左右する要素となります。

VTRの撮影では、参加者一人ひとりが順番に自己紹介を行いました。全員の撮影が終わった後、その映像を全員で視聴しました。そして、声のトーン、表情、内容の構成など、改善すべき点をそれぞれが記録し、自己評価を行いました。このプロセスを通じて、私たちは効果的なプレゼンテーションやパブリックスピーキングの方法を学びました。先生からは、「話すときに緊張しすぎると、CS(顧客満足)のレベルが下がってしまう」との指摘があり、明確かつ自信を持って言いたいことを伝えるためには、事前の準備と練習が大事であると教えられました。

次のセッションでは、ビジネス環境における良好なコミュニケーションの取り方について学びました。コミュニケーションを行う際に注意すべき5つの重要なポイントとして、「挨拶」「表情」「身だしなみ」「言葉使い」「態度」が紹介されました。挨拶では、相手の目を見て明るく声をかけることが、敬意と誠意を示す大切な姿勢であると教えられました。表情も重要で、日本の職場では、常に心からの笑顔を意識することが求められます。

身だしなみについては、「清潔感、上品、控えめさ」という3つの概念が紹介されました。これらは、清潔で洗練され、かつ過度にならない身だしなみが、ビジネスの場において信頼感を高めるという考え方に基づいています。さらに、態度や身のこなしもどちらも重要であり、丁寧なジェスチャーを用い、相手と対等な立場で接することが大切です。これらすべてのポイントは、人と人との信頼関係を築き、調和の取れた関係を保つために必要な要素です。

基本的なコミュニケーションの原則を理解した後、私たちは「身だしなみチェック」の活動に入りました。髪型、顔の表情、服装、手、足元、アクセサリーの使い方など、各自の外見について評価するよう求められました。このトレーニングは非常に有益で、日本の職場文化において細かい点まで注意を払うことの重要性を理解する良い機会となりました。

次のセッションでは、敬語の使い方について学びました。敬語は、尊敬語(そんけいご)と謙譲語(けんじょうご)の2種類に分かれており、主にビジネスに関する状況で相手に敬意を表すために使用されます。電話対応、顧客への挨拶、上司への報告など、ビジネスの場面でよく使われる表現を学び、それらを実際に書いたり、ペアで練習したりして、様々な状況で自然に敬語が使えるようになるよう努めました。また、ビジネスコミュニケーションで使うべきではない言葉や、失礼に聞こえる表現についても教えていただきました。

1日目の最後のセッションでは、上司からの指示をどのように受け取り、報告するかについて学びました。その中で紹介されたのが「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」という考え方です。これは、職場での良いコミュニケーションをとるための基本行動であり、「報告」「連絡」「相談」を積極的に行うことが求められます。このセッションでは、上司からの情報を正確に記録するために「5W2H(What・Why・Who・When・Where・How・How many/much)」の手法を用いたシミュレーション演習を行いました。情報の聞き取りと確認作業を何度も繰り返し、最後には記録した内容を再確認することで、漏れがないかどうかチェックしました。

そして翌日の5月20日、研修の2日目であり最終日が始まりました。朝は前日に学んだ内容の復習から始まりました。また、再度「身だしなみチェック」を行い、前日からの改善点を確認しました。このセッションを通じて、プロフェッショナルとしてのマナーと見た目を常に意識することの大切さを改めて実感しました。

2日目の新しい研修内容は、ビジネス電話の応対に関するトレーニングから始まりました。このセッションでは、企業のイメージを向上させるために、良い電話応対の方法について学びました。重要なポイントとしては、電話にはすぐに出ること、明るい声のトーンで応対すること、相手を長時間待たせないこと、丁寧な言葉遣いを心がけること、そして通話内容を同僚に正確に伝えることなどが挙げられました。私たちは固定電話を使って何度もシミュレーションを行い、トレーニング用のマニュアルを参考にしながら、さまざまなビジネス電話の場面を実践的に学びました。

電話対応の研修が終わった後は、日本語のビジネスメールについて学びました。私にとって、この内容は非常に新鮮であり、日本語のメールはインドネシア語での一般的なメールと比べて、構成や表現が大きく異なることを実感しました。日本語のメールでは、文章の構成、冒頭と結びの挨拶、そして言葉遣いの選び方など、細かい点に非常に注意を払います。私たちは、フォーマルなメールの書き方を学び、効果的なメール文の作成を練習しました。

次のセッションでは、ビジネスの場における座席の配置について学びました。会議中や上司・顧客と一緒に車に乗る場合など、さまざまな状況での座席マナーについて学びました。このトピックは私にとって特に興味深いもので、これまで学んだことがない内容でした。日本の職場文化では、座席の配置はその場の上下関係や敬意を表すものであり、例えば上司は入り口から最も遠い「上座」に座り、部下は最も近い「下座」に座ります。これは、相手への敬意を示し、また上司や重要なゲストの安全や快適さを確保するために行われます。

2日目の締めくくりとして、2社間のビジネスミーティングのシミュレーションを行いました。シミュレーションは、来客の出迎えから会議室での面会、そしてミーティング終了後のエレベーターまでの見送りに至るまで、一連の流れを実践しました。私たちは交代で様々な役割を担当し、この2日間で学んだマナーや知識を活かしながら実践しました。この体験は非常に印象深く、実際のビジネスシーンを想定した実践的な学びとなりました。

すべてのシミュレーションが終了した後、研修の全体的な内容に関する評価アンケートに記入しました。そして、その後は多くの新しい知識と貴重な経験を胸に、研修会場を後にしました。

JAL財団でのインターンシップに加え、この研修プログラムに参加できたことは、人生、学業、そしてキャリアにおいて最も貴重な経験の一つとなりました。短期間ではありましたが、ビジネスコミュニケーション能力だけでなく、仕事に対する考え方そのものにも大きな変化を感じています。特に、日本の職場文化における体系的なアプローチ、細部への配慮、そして敬意とプロフェッショナリズムを大切にする姿勢に深く感銘を受けました。

今回の一連の研修を通して、私は非常にポジティブな印象を持ちました。初日から、提供された内容は非常に充実しており、実践的で、私たちが単に理論を学ぶだけでなく、すぐに実践できるように構成されていることを実感しました。このような学習スタイルは、内容を深く理解するうえで非常に効果的であり、日本の職場文化における倫理観、姿勢、そしてコミュニケーションの重要性を実感する大きな助けとなりました。

特に印象的だったのは、研修全体が非常に丁寧かつ体系的に設計されていた点です。挨拶の仕方や服装のマナーといった基本的なことから、敬語の使い方、ビジネスメールの書き方、会議や車内における席次といった具体的なビジネスマナーまで、すべてが明確な理由と共に解説されており、それらが日本社会や職場の価値観とどのようにつながっているかを理解することができました。この研修は、実践的な知識だけでなく、「丁寧さ」「チームワーク」「上下関係への敬意」「プロフェッショナルな自己表現」のような大切な価値観も教えてくれました。

中でも特に印象に残っているのは、自己紹介のビデオ(VTR)撮影の場面です。カメラの前で自己紹介を行い、それを全員で見返してフィードバックし合うことで、自分の話し方、伝え方、そして他者からどう見られているかについて深く考えるきっかけになりました。異文化環境で働く準備として、自己理解と自己表現のバランスを学べたことはとても貴重な経験でした。

また、上司からの指示を受ける練習や「報・連・相(ほうれんそう)」の訓練も印象的でした。これは明確で責任感のある、徹底したコミュニケーションの重要性を強く意識させられる内容でした。これまで何気なく行っていたことも、日本の職場文化では細やかな配慮と手順が求められることを知りました。例えば、指示をメモに取ること、再確認すること、構造的に報告することは、単なる規律ではなく、相手への敬意を示す行動であることを学びました。

私にとって、この研修は日本のビジネスマナーを学ぶだけでなく、自分自身の感性や共感力、そしてプロ意識を養う大きなチャンスです。シミュレーション中に間違えても大丈夫です。むしろ、それが学びの場なのです。疑問があれば遠慮なく質問し、自分を振り返ることで、本当の成長が得られると思います。

この貴重な研修の機会を与えてくださったJAL財団と、情熱・忍耐・献身的な姿勢で教えてくださった全ての講師の皆さまに、心より感謝申し上げます。異なる国や文化の出身である私を温かく迎え入れてくださり、安心して学び、成長できる環境を提供していただいたことに、深い感謝の気持ちでいっぱいです。

この経験を通じて、私は日本の職場文化への理解を深めただけでなく、どんな国や環境でも活かせる多くの価値観を持ち帰ることができました。このプログラムは、私がグローバルな職場で活躍するための大きな一歩となり、今後のキャリアにとっても確かな基礎となると確信しています。

最後になりますが、この経験をさらに広げ、インドネシアの仲間たちにも伝えていきたいと考えています。より多くの若者が、日本や他の多文化環境で働くことに関心を持ち、挑戦できるようになることを願っています。そして、JAL財団がこの素晴らしいプログラムを今後も継続し、世界中の若者たちに貴重なチャンスを提供し続けてくださることを心より期待しております。

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